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【薬剤師が解説】五苓散は二日酔いに効く?予防・対策・飲むタイミングを紹介

飲みすぎた翌日の頭痛や吐き気、だるさなど、いわゆる二日酔いの症状に悩まされる人は少なくありません。

そんな時、「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬が効果的だと聞いたことはありませんか?

本記事では、薬剤師の視点から「なぜ五苓散が二日酔いに効くのか?」解説し、服用タイミングや効果の出方、他の漢方との併用、注意点まで網羅的にご紹介します。

五苓散とは?基本情報

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五苓散の効果と成分

五苓散(ごれいさん)は、漢方医学において水毒(すいどく)や水滞(すいたい)と呼ばれる、体内に余分な水分が停滞している状態に対して用いられる代表的な漢方薬です。

とくに、めまい・むくみ・頭重感・口渇・吐き気・下痢など、水分バランスの乱れに由来する不調に適応します。

配合されている生薬は以下の5つで、いずれも水分の調整に関与しています。

  • 沢瀉(たくしゃ):強い利尿作用を持ち、腎機能を高めながら余分な水分を尿として排出します。

  • 猪苓(ちょれい):膀胱の水はけを良くし、尿量を増やすことでむくみや水分停滞を改善します。

  • 茯苓(ぶくりょう):脾胃(消化器系)を整えつつ、余分な水を除き、精神を安定させる働きもあります。
  • 白朮(びゃくじゅつ):胃腸の機能を高め、体内に溜まった湿気(=水分)を取り除く作用に優れます。

  • 桂皮(けいひ):体を温め、血行を促進することで、他の利水薬の効果を高めながら体表の冷えや寒気を改善します。

この5種の生薬が相互に補完し合うことで、体内の水の偏在(上半身や消化管など特定部位に溜まる水分)を調整します。

このように、五苓散は単なる利尿剤ではなく、「水のめぐり」を根本から改善する漢方薬として、体質改善の一助にもなり得る漢方薬です。

五苓散の飲み方

薬の服用

基本的には医師の指示に従って服用しますが、一般的には1日2〜3回、空腹時に服用します。

水や白湯で服用するのが基本ですが、顆粒タイプが飲みにくい方には錠剤タイプもあります。

効果を最大限に発揮させるためには、なるべく胃が空の状態での服用が望ましいです。

副作用について

五苓散は比較的安全性の高い漢方薬とされていますが、体質や体調によっては副作用があらわれることがあります。

主な副作用として、発疹、発赤、かゆみ、体がだるいなどが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。

なぜ、五苓散は二日酔いに効くのか?

二日酔いになる原因と五苓散の作用

二日酔いは、単に飲みすぎによる肝臓の疲弊ではなく、「脱水」「電解質異常」「アセトアルデヒド蓄積」など複合的な要因で起こります。

アルコールの利尿作用で体内の水分が排出され、結果として細胞が脱水状態になります。

このとき脳の細胞も軽度に収縮し、頭痛や集中力の低下、倦怠感などを引き起こします。

また、失われた電解質(ナトリウム、カリウムなど)のバランスが崩れると、神経伝達や筋肉の機能にも影響が及び、倦怠感や筋肉のけいれんなどが起こることもあります。

五苓散はこれらの症状に対し、「体内の水の偏り」を整え、水の循環を正常化することで症状を緩和します。

利水作用を中心に、水分が偏在している部位から余分な水を排出することで、むくみや頭痛、胃部不快感を和らげます。

さらに、利尿作用によって体内の水分を動かすことで、アルコールによる循環不良や代謝の滞りもサポートします。

加えて、五苓散に含まれる、桂皮や茯苓には、自律神経を整える働きがあるため、飲酒後の不快感やめまい、吐き気の緩和にも役立ちます。

このように、五苓散は体内の水分バランスを整えることで、頭痛や吐き気、むくみ、倦怠感といった二日酔い特有のさまざまな症状をまとめて和らげる効果が期待できます。

五苓散が吐き気や頭痛にも効く理由

吐き気は、飲酒などで胃腸の動きが弱まって水分がたまり、気が逆流するような状態になると起こると考えられています。漢方ではこれを「胃気上逆(いきじょうぎゃく)」と呼びます。

五苓散は体内に滞った水分の流れを促進することで、こうした吐き気を和らげる働きをします。

また、頭痛に関しても、体の上部に余分な水分がたまって起こる「水毒(すいどく)」が原因とされることがあり、これにより頭が重い、締めつけられるように痛いといった不快な症状が出ます。

五苓散はこの水分の偏りを整えることで、こうした頭痛の軽減にもつながります。

五苓散はいつ飲むのが効果的?服用タイミング

ここからは五苓散を服用するタイミングについて詳しく解説していきます。

即効性はある?服用後どのくらいで効く?

五苓散は「エキス剤」であるため、顆粒や錠剤の形状でも吸収は比較的早く、服用後30分〜1時間ほどで効果を感じることがあります。

ただし、漢方薬は体質や症状との相性により作用時間に差が出ることがあります。

飲酒前や寝る前に飲んでも効果はある?

はい。とくに、寝る前の服用はおすすめです。

夜間の利尿を穏やかにし、睡眠の質を落とさずに朝の不快感を防ぐ効果があります。

また、飲み会や宴会前に服用することで予防的に使うことも可能です。

二日酔いの予防としての服用もOK

飲酒前や就寝前に五苓散を服用することで、翌朝の二日酔いを軽減できることが報告されています。

これは、体内の水分異常を未然に整えておくことで、アルコールの利尿作用や血管拡張による影響をやわらげるためです。

五苓散は毎日飲んでも大丈夫?

五苓散は毎日飲んでも問題ないとされています。

とくに体質的に水分の代謝が悪い方や、むくみや頭重感が出やすい方には、継続的に服用されることもあります。

毎日服用をする場合は、体質との相性や副作用の有無を確認しながら、医師や薬剤師に相談して使用するのが安心です。

効果がないと感じるときの原因

  • 飲むタイミングが遅かった(症状がピークを超えている)
  • 水分摂取不足のまま五苓散だけを服用している
  • そもそも脱水型の二日酔いではなく、アルコール代謝産物が主因である
  • 体質に合っていない(胃腸虚弱で利水が強く出すぎるなど)

「効かない」と感じた場合は、症状のタイプと薬の特性が合っていないことが多く、他の漢方薬の併用や別のアプローチが必要になることもあります。

他の漢方薬と併用できる?

基本的に、五苓散と他の漢方薬の併用は、医師または薬剤師の指導のもとで行いましょう。

過剰な服用や体質に合わない併用は逆効果になることもあります。

黄連解毒湯・半夏瀉心湯との併用

五苓散単独で効果が乏しいと感じる場合、次の漢方薬との併用が有効なこともあります。

  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう):熱感、顔の赤み、イライラなど「火」の症状が強い二日酔いに
  • 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):胃の不快感、ゲップ、吐き気など「胃腸の不和」が中心の場合

よくある質問

質問、疑問、QアンドA

五苓散は二日酔いの頭痛や吐き気にも効きますか?

五苓散は、二日酔いの頭痛や吐き気にも効果が期待できます。

とくに体が重い、頭が重い、水分を多く摂ってもスッキリしないといった「水毒タイプ」の二日酔いに有効です。

二日酔いでむくみました…効果はありますか?

五苓散は、むくみにも効果があるとされています。

むくみは水分の排出がうまくいっていないサインであり、五苓散の利水作用が有効です。

どのくらいの量を飲めばいいですか?

成人の場合、1回1包(2.5g)または3錠を目安に、1日2〜3回服用します。症状の程度や体質によって調整することがあります。

錠剤と顆粒で効果は変わりますか?

錠剤と顆粒で有効成分に大きな違いはなく、基本的な効果は同じです。

スタンダードなのは顆粒タイプで、医療機関ではこちらが処方されることが多いです。

どうしても味が苦手という場合は、錠剤タイプを選ぶことで無理なく続けやすくなります。

医療用と市販薬と違いがありますか?

医療用と市販薬には、有効成分の配合量や剤型、添加物などに違いがある場合があります。

医療用の五苓散は満量処方に基づいており、市販薬よりも成分量が多く、効果を実感しやすい場合があります。

これに対して、市販薬は使用者の自己判断による服用を前提としており、成分量がやや控えめである場合があります。

市販薬でも十分な効果を感じるケースはありますが、効果を用法・用量を守りつつ、必要に応じて医療機関への相談を検討しましょう。

ユウキ薬局では、医療用の五苓散を購入することができます。

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五苓散は、薬局やドラックストアで購入できますか?

はい、五苓散は第2類医薬品として 薬局・ドラッグストア で購入できます。

また、零売薬局(処方せん不要で医療用漢方が買える薬局)でも、ツムラの医療用五苓散を取り扱っています。

まとめ

五苓散は、水分代謝の乱れに起因する不調を改善する漢方薬であり、とくに二日酔いによる頭痛・吐き気・むくみ・倦怠感といった症状に対して有効です。

服用タイミングとしては、症状が出る前の飲酒前や就寝前の予防的な服用も効果的で、体質に合えば毎日の継続使用も可能です。

顆粒と錠剤では効果に大きな違いはありませんが、飲みやすさで選ぶのがよいでしょう。

五苓散を上手に取り入れることで、つらい二日酔いを軽減し、翌朝を快適に過ごせる手助けになるでしょう。

 

参考資料

ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)

この記事を書いた人
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薬剤師 森 佑貴

ユウキ薬局代表。保険薬局で薬剤師として5年間勤務した後、零売専門薬局「ユウキ薬局」を開業。現場で薬剤師として勤務する傍ら、「一般の方向け」に「わかりやすく」お薬の情報を届けられるように記事を執筆しています。

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