こんにちは、ユウキ薬局薬剤師の森です。
今回は「ロキソニンテープ」についてお話します。
ロキソニンテープは、筋肉痛や肩こり、腰痛になどに対して処方される痛み止めの貼り薬です。
ロキソニンテープの効果や副作用、使用上の注意、市販薬の有無など知りたい方は是非参考にしてください。
ちなみに、ロキソニンテープのジェネリック医薬品(後発医薬品)は成分名「ロキソプロフェンNaテープ」+「メーカー名」で表記されています。
ロキソニンテープ(ロキソプロフェンNaテープ)ってどんなお薬?
ロキソニンテープの成分と作用
ロキソニンテープは「ロキソプロフェンナトリウム水和物」を主成分とする経皮吸収型の鎮痛・抗炎症剤です。
ロキソプロフェンナトリウム水和物は、現在の第一三共株式会社によって開発され、1986年から飲み薬が発売されています。
その後、2006年に国内初のロキソプロフェンナトリウム水和物の貼り薬であるロキソニンパップが承認され、
2008年には、より密着性が高く剥がれにくいテープ剤として「ロキソニンテープ」が承認されました。
ロキソニンテープは非ステロイド性消炎鎮痛剤であり、痛みや炎症のもとである「プロスタグランジン」を抑えることで鎮痛・抗炎症作用を発揮します。
ロキソニンテープの効能効果、どんなときに使われる?
一般的にロキソニンテープは鎮痛・抗炎症作用を期待して、関節周囲の痛みや腫れがおこる変形性関節症や筋肉痛、怪我による痛みや腫れに対して処方されることが多いです。
添付文書に記載されているロキソニンテープの効能効果は次の通りです。
- 変形性関節症
- 筋肉痛
- 外傷後の腫脹・疼痛
※添付文書…医療用医薬品の基本的な要約情報
ロキソニンテープでは患者を対象とした臨床試験は実施されていませんが、同成分を含むロキソニンパップ100mgにおける国内で実施された臨床試験成績の結果は次の通りとなっています。
疾患名 | 改善率 |
---|---|
変形性関節症 | 75.5% (240/318) |
筋肉痛 | 80.7% (184/228) |
外傷後の腫脹・疼痛 | 98.1% (101/103) |
ロキソニンテープの使い方
ロキソニンテープは1日1回、痛みを感じる部位に貼付します。
肘や膝など動きがあり剥がれやすいところに使用する場合は、切り込みを入れて貼付するとはがれにくくなります。
※損傷皮膚や粘膜は刺激感が出やすく、湿疹や発疹のある部位に使用すると症状が悪化する可能性があるため、損傷皮膚及び粘膜、湿疹又は発疹の部位に使用しないこととされています。
ロキソニンテープの市販薬は?
ロキソニンSテープ/ロキソニンSテープL
ロキソニンテープ50m、100mgの市販薬には、それぞれロキソニンSテープとロキソニンSテープLが販売されています。
ロキソニンSテープ、ロキソニンSテープLは第2類医薬品に分類されるので
インターネット通販での購入も可能です。
医療用 | 市販薬(税込価格) |
ロキソニンテープ50mg | ロキソニンSテープ(1,078円/7枚) |
ロキソニンテープ100mg | ロキソニンSテープL(1,783円/7枚) |
医療用ロキソニンテープと市販薬の違い
医療用のロキソニンテープと市販薬に基本的に違いはありません。
商品名やパッケージが違うだけであり、製造会社が同じで、有効成分の配合量、添加物までも同じです。
ただ、市販薬は自己判断で使用できるため、ロキソニンSテープ(L)には以下のように1日の枚数の制限、使用継続期間の制限がされています。
- 1日あたり4枚を超えて使用しないこと
- 連続して2週間以上使用しないこと
一方で、医療用のロキソニンテープには、1日の使用枚数や使用継続期間の制限は特にされていません。
ロキソニンテープのインタビューフォームには、
- 1日1回800mgを14日間使用した場合
- 1日2回、1回400mgを12時間ごとに6日間使用した場合
の安全性が確認されています。
※インタビューフォーム…製薬企業が作成する医薬品に関する情報提供書
ロキソニンテープの副作用
ロキソニンパップ100mg及びロキソニンテープ50mg/100mgにおいて製造販売後調査では3,038例中87例(2.9%)に副作用が報告され、そのほとんどが以下のような皮膚症状です。
※製造販売後調査…医薬品が販売された後に行われる調査
副作用 | 発生頻度 |
---|---|
接触性皮膚炎(かぶれ) | 1.4% |
そう痒(かゆみ) | 0.5% |
紅斑 | 0.4% |
ロキソニンテープの使用上の注意
高齢者への使用
特に65歳以上の高齢者に使用する場合は、使用する部位の皮膚の状態には注意が必要です。
というのもロキソニンパップ100mg及びロキソニンテープ50mg/100mgの製造販売後調査によると、
65歳以上の高齢者での副作用の発現率は3.7%(1,738例中65例)であり、65歳未満1.7%(1,300例中22例)と比すると高く、その主な副作用は貼付部の皮膚症状であるからです。
妊娠中や授乳中の服用について
ロキソニンテープは妊娠中の使用に関する安全性は確立していないため、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用することとされています。
子どもへの使用について
ロキソニンテープは新生児、乳幼児、小児などに対する安全性は確立されていないので、基本的に使用しないこととされています。
喘息をお持ちの方への使用
気管支喘息を持っている方の中には、アスピリン喘息といってNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)によって喘息発作を誘発してしまう方がいるので注意が必要です。
息切れ、息苦しい、息をするときヒューヒューと音がするなどの症状が現れた場合は使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
最後に
今回紹介したロキソニンテープなどの消炎鎮痛剤による治療は、あくまで対症療法です。
※対症療法…病気の原因に対してではなく、症状を出なくしたり軽減するための治療
しばらくしても痛みや腫れが引かない場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
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参考文献
ロキソニンテープ50mg/ロキソニンテープ100mg (pmda.go.jp)