こんにちは、ユウキ薬局です。
今回は「ボルタレンテープ」の効果や副作用、使用上の注意、市販薬についてお話しします。
ボルタレンテープは同仁医薬化工株式会社が製造販売元であり、肩こりや関節痛、捻挫などに対して処方される腫れ痛みをやわらげる貼り薬です。
また、ボルタレンテープのジェネリック(後発医薬品)は「ジクロフェナクナトリウムテープ」+「メーカー名」で表記されます。
ジェネリックって何?という方はこちらの記事を参考にしてください。
>>>ジェネリック医薬品は危険なの?新薬との違いや安さの理由を解説
ボルタレンテープ(ジクロフェナクナトリウムテープ)ってどんな薬?
ボルタレンテープの成分と作用
ボルタレンテープの有効成分ジクロフェナクナトリウムは、1965 年にスイス、チバガイギー社(現ノバルティス ファーマ社)研究所で開発されたフェニル酢酸系の非ステロイド性消炎鎮痛剤です。
※非ステロイド性消炎鎮痛剤…痛みや炎症のもとである「プロスタグランジン」を抑えることで鎮痛・抗炎症作用を発揮します。
日本では1974年に内服薬のボルタレン錠が発売され、その後2004年に貼付剤としてボルタレンテープが発売されています。
ボルタレンテープは患部に合わせて大きさを選択できるように「ボルタレンテープ15mg」、「ボルタレンテープ30mg」の2つのサイズがあります。
規格 | 成分量 |
---|---|
ボルタレンテープ15mg(7cm×10cm) | 1枚(膏体1.5g)中にジクロフェナクナトリウム15mg含有 |
ボルタレンテープ30mg(10cm×14cm) | 1枚(膏体3.0g)中にジクロフェナクナトリウム30mg含有 |
ボルタレンテープの効能効果、どんなときに使われる?
一般的にボルタレンテープは鎮痛・抗炎症作用を期待して、腰痛や関節痛、筋肉痛、怪我などによる痛みや腫れに対して処方されます。
ボルタレンテープの添付文書に記載されている効能効果は次の通りです。※添付文書…医療用医薬品の基本的な要約情報
下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
- 変形性関節症
- 肩関節周囲炎
- 腱・腱鞘炎
- 腱周囲炎
- 上腕骨上顆炎(テニス肘等)
- 筋肉痛(筋・筋膜性腰痛症等)
- 外傷後の腫脹・疼痛
ボルタレンテープの臨床成績
ボルタレンテープ では患者を対象にした臨床試験は実施されていないため、以下は1%ジクロフェナクナトリウム軟膏における935例の臨床試験により得られた成績です。(テープ剤は軟膏と薬力学的に同等であることが確認されている)
疾患名 | 症例数 | 中等度改善以上(%) |
---|---|---|
変形性関節症 | 212 | 135(63.7) |
肩関節周囲炎 | 135 | 81(60.0) |
腱・腱鞘炎、腱周囲炎 | 127 | 85(66.9) |
上腕骨上顆炎 | 106 | 70(66.0) |
筋肉痛 | 205 | 153(74.6) |
外傷後の腫脹・疼痛 | 150 | 117(78.0) |
ボルタレンテープの使い方
ボルタレンテープ15mg、ボルタレンテープ30mgは1日1回、痛みを感じる部位に貼付します。
粘膜や傷ついた皮膚、湿疹や発疹の出ている部位には使用してはいけませせん。
また、かぶれを防ぐためにも汗をかいていたり、患部がぬれている場合はよく拭き取ってから使用しましょう。
テープを剥がす際は皮膚を押さえながら、折り返すように剥がすと皮膚への負担が少なくなります。
ボルタレンテープの市販薬は?
ボルタレンテープと同じ有効成分「ジクロフェナクナトリウム」が配合された市販薬はいくつか販売されています。
ボルタレンテープの市販薬は第2類医薬品に分類されるので、医療用医薬品のボルタレンテープとは違い、インターネット通販での購入も可能です。
ボルタレンEXテープ/テープL【第2類医薬品】
ボルタレンEXテープはボルタレンテープと同じ同仁医薬化工株式会社が製造販売元です。
有効成分「ジクロフェナクナトリウム」の含有量だけでなく、添加物も医療用のボルタレンテープと同じです。
サイズは7cm×10cm、10cm×14cmがあり、それぞれボルタレンテープ15mg、30mgと同じ大きさになります。
ボルタレンACaテープ/テープL【第2類医薬品】
ボルタレンテープACaテープも同仁医薬化工株式会社が製造販売元であり、こちらはメントール無配合でにおいが気にならない無香料タイプです。
1枚あたりの有効成分ジクロフェナクナトリウム含有量、サイズはボルタレンテープと同じです。
ボルタレンテープの副作用
ジクロフェナクナトリウム15mgの製造販売後調査の総症例1,057例中、副作用が報告されてのは25例(2.37%)です。
その主な症状は以下のとおり。
- 皮膚炎…21件(2.0%)
- そう痒(かゆみ)…3件(0.3%)
このように使用した部位のかぶれやかゆみなどの皮膚症状が主に副作用としてあげられます。
その他、ボルタレンテープの重大な副作用としてショック、アナフィラキシーがあります。以下に記載するような自覚症状があらわれた場合は、直ちに医師または薬剤師に相談してください。
重大な副作用 | 主な症状 |
---|---|
ショック | めまい、冷や汗、血の気が引く、息切れ、判断力の低下 |
アナフィラキシー | しゃがれ声、眼と口唇のまわりのはれ、蕁麻疹、動悸、息切れ、ほてり、意識の低下 |
上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談しましょう。
ボルタレンテープの使用上の注意
妊娠中や授乳中の使用
ボルタレンテープの妊娠中の使用に関する安全性は確立されていないので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用することとされています。
授乳中に関しての注意書きは添付文書に記載されていません。医師、薬剤師に相談のうえ使用するようにしましょう。
小さな子どもへの使用
ボルタレンテープは新生児、乳幼児、小児などに対する使用経験が少ないため安全性は確立されていません。
喘息をお持ちの方への使用
喘息を持っている方の中には、アスピリン喘息といってNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)によって喘息発作を誘発してしまう方がいるので注意が必要です。
息切れ、息苦しい、息をするときヒューヒューと音がするなどの症状が現れた場合は使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
最後に
今回紹介させていただいたボルタレンテープなどの消炎鎮痛剤による治療は、あくまで対症療法です。
※対症療法…病気の原因に対してではなく、症状を出なくしたり軽減するための治療
しばらくしても痛みや腫れが引かない場合は一度、医療機関を受診するようにしてください。
関連記事
フェルビナクスチック軟膏3%(スミルスチック)ってどんな薬?市販薬はあるの?
【モーラステープ】市販薬はあるの?効果や副作用についても併せて解説します
ロキソニンテープの効果や副作用│市販薬の有無や違いを解説します
【ロキソニンパップ】市販薬はあるの?テープ剤との違いも解説します
参考資料