ワキガの臭いに悩んでいる方にとって、市販の制汗剤は手軽に取り組める対策のひとつです。
しかし、種類が多く、どの商品を選べば良いのか迷うこともあるでしょう。
本記事では、ワキガの基礎知識から有効成分の解説、おすすめの制汗剤や選び方のポイント、さらに医療機関での治療についてまで幅広くご紹介します。
この記事を参考に、自分に合ったワキガ対策を見つけてください。
ワキガ(腋臭症)についての基礎知識
私たちの体にはエクリン腺とアポクリン腺という2種類の汗腺がありますが、このうちワキガの原因となるのはアポクリン腺です。
アポクリン腺から分泌される汗の量が多ければ多いほど臭いが強くなる傾向があり、毛の量や汗腺の活性度も影響するため、ワキガの臭いは個人差があります。
ワキガの臭いの原因について
ワキガの臭いは、アポクリン腺という特定の汗腺から分泌される汗と皮膚表面に存在する常在菌の働きによって発生します。
アポクリン腺は脇の下や陰部、乳首など特定の部位に存在し、毛包内に付随しており、この汗腺から分泌される汗には脂質やタンパク質、糖質、アンモニアなどの成分が含まれています。
これらの成分が皮膚表面の常在菌によって分解されることで、ワキガ独特のツンとした臭いが生じます。
特に、常在菌が脂肪酸を分解する際に発生する「3-メチル-2-ヘキセノイン酸」という物質や、アンモニアに由来する臭いがワキガの主な臭いの原因とされています。
自分がワキガなのか確認する方法
自分がワキガかどうかを確認するには、以下のポイントをチェックしてください。
- 耳垢が湿っているか:アポクリン汗腺が活発な人は耳垢が湿っている場合が多いです。
- 衣類の脇部分が黄ばむか:汗に含まれる成分が酸化することで衣類に黄ばみが残ることがあります。
- 臭いが特に脇の下で強い:通常の汗の臭いとは異なる独特な臭いが感じられる場合はワキガの可能性があります。
気軽にできるワキガ対策
日常生活に取り入れやすいワキガ対策として、バランスの良い食生活を心がけ、野菜や果物を積極的に摂り、睡眠を十分に取ることで体内環境を整えましょう。
また、吸水性や通気性に優れた綿や麻などの天然素材の衣類を選ぶことで汗を吸収し臭いを抑える一方、化学繊維は避けるのがおすすめです。
さらに、汗をかいたらこまめに拭き取り、デオドラントを必要に応じて塗り直すことで、効果的に臭いを軽減できます。
ワキガの臭いを抑える有効成分について
ワキガの臭いを効果的に抑えるためには、市販の制汗剤に含まれる有効成分を確認することが重要です。
制汗剤は、殺菌成分(イソプロピルメチルフェノール、ベンザルコニウム塩化物など)、制汗成分(クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウムなど)、消臭成分(ミョウバンなど)の3つのアプローチで臭いをケアします。
それぞれの成分について詳しく見ていきましょう。
殺菌成分(細菌の数を減らす)
ワキガの臭いは汗そのものではなく、皮膚表面に存在する細菌が原因であり、この細菌の増殖を抑える殺菌成分が臭い予防に効果を発揮します。
例えば、イソプロピルメチルフェノールは殺菌力が高く肌への負担が少ないため、多くのデオドラント製品に使用されており、敏感肌にも適しています。
また、ベンザルコニウム塩化物は抗菌作用があり、幅広い細菌に効果を発揮する成分で、制汗剤や消毒液にも広く用いられています。
制汗成分(汗の量を減らす)
汗を抑えることで臭いの原因を根本から減らすことができます。
制汗成分は、汗腺の働きを抑えたり汗の分泌を減少させる役割を果たします。
例えば、クロルヒドロキシアルミニウムは汗腺を物理的に塞ぎ、汗の分泌を抑える効果があり、肌に優しいため多くの制汗剤に使用されています。
また、塩化アルミニウムは汗腺の出口を縮小させる作用があり、特に汗の量が多い方に効果的ですが、敏感肌の方は肌荒れに注意が必要です。
消臭成分(発生したニオイを吸着する)
発生してしまった臭いを吸着し抑える消臭成分も、臭い対策において重要です。
中でもミョウバンは、アルカリ性の臭いを中和する働きがあり、優れた消臭効果を発揮します。
さらに、制汗効果も併せ持つため、特にワキガ対策に適した成分として広く利用されています。
市販で買えるワキガ対策商品の選び方
市販のワキガ対策商品は多くの種類があり、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
選び方のポイントを押さえて、効果的な商品を見つけましょう。
医薬部外品を選ぶ
医薬部外品とは、厚生労働省によって認可された薬用成分や効能を持つ成分が一定濃度以上含まれている製品のことです。
予防や衛生を目的とし、化粧品よりも高い効果が期待できる一方で、医薬品に比べると効果は穏やかです。
そのため、安全性を保ちながら、一定の効果を得たい場合に適しています。
有効成分を確認する
必要に応じて、各種配合されているもの、一部が配合されているものを選択していきましょう。
有効成分は包装に記載されているほか、パッケージの目立つところに「殺菌」「制汗」「消臭」などの文言が標記されている場合が多いので参考になります。
効果の持続時間を確認する
ワキガ対策製品はさまざまな種類があり、含まれる成分によって効果の持続時間が異なります。
そのため、製品の効き目がどのくらい続くのか、塗り直しが必要かどうかを事前に確認することが大切です。
特に、長時間の持続性を重視する場合は、ウォータープルーフや高密着処方の商品を選ぶと、安心して使うことができます。
また、携帯しやすいものを選べば、外出先でも手軽にケアが可能です。
使用目的に合わせたタイプを選ぶ
制汗剤やデオドラントにはスティック、ロールオン、クリーム、スプレー、ウォータータイプなどがあります。
また、お出かけ前に塗る用で大容量のものがほしい場合はジャータイプがおすすめです。外出用の他に家に1つ、大きめのものを置いておきましょう。
スティックタイプ | 持ち運びが便利で、手を汚さずに簡単に塗ることができる |
ロールオンタイプ | 液状で肌に密着しやすく、均一に塗布できる |
クリームタイプ | 保湿効果があり、乾燥肌の方にもおすすめ |
スプレータイプ | 広範囲に素早く塗布できるため、忙しい朝やスポーツ後にも便利 |
ウォータータイプ | 軽い使用感で、べたつきを避けたい方に適している |
市販で購入できるおすすめのワキガ対策商品を紹介
ワキガの臭いが気になる方には、無香料タイプの制汗剤がおすすめです。
汗の臭いを香料で隠そうとすると、逆効果になることがあります。
特に、臭いを抑える成分が含まれていない商品では、汗の臭いと香料が混ざり合い、不快感が増す可能性があるため注意が必要です。
メンソレータム リフレア デオドラントクリーム 55g
Wの殺菌有効成分がワキガのニオイの原因となる菌を殺菌
2種類の殺菌有効成分が配合されており、ワキガの臭いの原因となる菌を効果的に除去します。
スプレータイプでは汗をかくと効果が薄れる心配がありますが、高密着で持続力のあるクリームタイプなら、ワキガの臭いや汗の臭いもしっかりとケアし、一日中快適な状態を保てます。
販売元 | ロート製薬 |
タイプ | クリーム |
効能・効果 | わきが(腋臭)、皮フ汗臭、制汗 |
有効成分 | ベンザルコニウム塩化物、イソプロピルメチルフェノール、クロルヒドロキシアルミニウム |
用法用量 | わきの下など汗の出やすいところに、適量を塗布してください |
種別 | 医薬部外品 |
香り | 無香料 |
テサランクリア わきがクリーム 30g
最大で72時間のデオドラント効果が実証
テサランクリアは、優れた収れん作用を持つクロルヒドロキシアルミニウムを配合し、低刺激ながら高い制汗効果を発揮するクリームです。
また、菌の増殖を抑えるイソプロピルメチルフェノールを含むことで、汗による臭いやワキガの原因菌をしっかりケアします。
クリームが汗腺をコーティングし、汗の吹き出しを抑えると同時に、最大72時間持続するデオドラント効果が実証されています。
販売元 | テサラン |
タイプ | クリーム |
効能・効果 | わきが(腋臭)、皮フ汗臭、制汗 |
有効成分 | クロルヒドキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノール |
用法用量 | 片方の脇ごとに、クリーム適量をまんべんなく塗り広げてください。 |
種別 | 医薬部外品 |
香り | 無香料 |
QB薬用デオドラントクリーム 30g
ウォータープルーフタイプで高い密着力が特徴
QB薬用デオドラントクリームは、クロルヒドロキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウムの有効成分が、殺菌と制汗のダブル効果を発揮します。
クリームタイプでしっかり塗り込めるのにべたつかず、サラッとした使い心地が特徴です。また、効果の持続時間が長く、密着力が高いため、臭いをしっかりと抑えます。
販売元 | リベルタ |
タイプ | クリーム |
効能・効果 | わきが(腋臭)、皮フ汗臭、制汗 |
有効成分 | クロルヒドロキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム |
用法用量 | 付属のヘラ適量を取ってから指にのせ、ワキや足などの汗の出やすい所にすり込むように広げて塗布してください。塗布する際には、入浴後などのお肌を清潔にした状態で、水気を取り乾燥させたお肌にご使用ください。 |
種別 | 医薬部外品 |
香り | 無香料 |
ニベアデオ スティック無香料 15g
凸凹肌も密着するクリーミィタイプ
クロルヒドロキシアルミニウムが脇汗を抑え、β-グリチルレチン酸が殺菌効果を発揮することで、汗と臭いを夜までしっかりケアします。
クリーミィなテクスチャーで肌にしっかり密着し、なめらかな使い心地が特徴です。凸凹のある肌にも均一に塗れるので、快適に使用できます。
販売元 | 花王 |
タイプ | ロールオン |
効能・効果 | わきが(腋臭)、皮フ汗臭、制汗 |
有効成分 | クロルヒドロキシアルミニウム、β-グリチルレチン酸 |
用法用量 | スティックを5ミリ程度出して肌に垂直にあて、薄くムラなくぬってください。 |
種別 | 医薬部外品 |
香り | 無香料 |
クデオ ジェルクリーム 30mL
無色透明でべたつかずさらっとした使い心地
伸びの良いジェルタイプで、無色透明のさらっとした使用感が特徴です。
べたつきが少なく、子どもにも使いやすい設計で、オイルや合成香料、合成着色料は一切使用していません。
有効成分としてクロルヒドロキシアルミニウムを配合するほか、アラントインや大豆エキス、クララエキスなど、美容に役立つ成分も含まれており、肌を優しくケアしながら使用できます。
販売元 | クデオ |
タイプ | ジェルクリーム |
効能・効果 | わきが(腋臭)、皮フ汗臭、制汗 |
有効成分 | クロルヒドロキシアルミニウム |
用法用量 | 外出前や入浴後に、ジェルを米粒大くらい指先に出し、ニオイの気になるところにやさしく伸ばしながら塗ります。 |
種別 | 医薬部外品 |
香り | 無香料 |
デオナチュレ ソフトストーンW
携帯に便利なスティックタイプ
制汗成分である焼ミョウバンを微粒子化することで、汗による臭いを防ぐ効果がさらに高まりました。
また、殺菌成分としてイソプロピルメチルフェノールを配合しているため、汗の分泌と臭いの両方にアプローチできる製品です。
販売元 | デオナチュレ |
タイプ | ロールタイプ |
効能・効果 | わきが(腋臭)、皮フ汗臭、制汗 |
有効成分 | 焼ミョウバン、イソプロピルメチルフェノール |
用法用量 | スティックの底部を回し1cm程度くり出す。乾いた清潔なワキなどに5~6回ムラなく塗布する。 |
種別 | 医薬部外品 |
香り | 無香料 |
Agプレミアム デオドラントスプレー
3つの有効成分が臭いの原因を集中殺菌
3つの有効成分が臭いの原因を集中的に殺菌し、制汗効果を発揮します。
高密度で肌にしっかり密着するスプレータイプで、汗や臭いを効果的にケア。
さらに、さらさらパウダーと保湿パウダーを配合し、肌を快適な状態に保ちながら使用感も心地よく仕上げています。
販売元 | 資生堂化粧品 |
タイプ | スプレー |
効能・効果 | わきが(腋臭)、皮フ汗臭、制汗 |
有効成分 | イソプロピルメチルフェノール、クロルヒドロキシアルミニウム、酸化亜鉛 |
用法用量 | 肌から10cm以上はなして円を描くようにスプレーする |
種別 | 医薬部外品 |
香り | 無香料 |
医療機関でのワキガ治療について
市販の制汗剤では効果が不十分な場合や、ワキガの臭いが強く日常生活に影響を及ぼす場合には、医療機関での治療が検討されます。
医療機関では、症状の程度に応じて複数の治療法が提供されています。
ここでは主な治療法3つをご紹介します。
- 投薬治療
- ボトックス
- 外科手術
処方薬でのワキガ治療
医療機関での治療の中で、まず選択肢に挙げられるのが処方薬の使用です。
多汗症治療薬としては、外用薬(エクロックゲル)と内服薬(プロバンサイン)が保険適用されており、どちらも医師の診察を経て処方されます。
保険外の治療としては、塩化アルミニウムによる外用療法もあります。塗布することで、汗腺や汗の通り道を塞ぎ、発汗を抑えます。
ボトックスでのワキガ治療
ボトックスは、脇の下に注射することでエクリン汗腺の働きを抑え、発汗を抑制する治療法です。発汗が減少することで臭いも軽減されます。
この治療では汗腺を除去するわけではないため、効果は一時的ですが、約半年から1年程度、汗の分泌を抑えることが期待できます。
施術時間は約5分と短く、入院の必要がないため忙しい方でも受けやすい治療法です。
手術には抵抗があるものの、市販の制汗剤では効果が不十分という方に適している治療法といえます。また、この治療は保険適用外となります。
外科手術でのワキガ治療
ワキガの根本的な治療を目指す場合には、外科手術が選択されることがあります。
外科手術の中でも代表的な方法として、剪除法と吸引法が挙げられます。
剪除法は、皮膚を切開してアポクリン汗腺を直接取り除く方法で、非常に高い効果を期待できますが、傷跡が残る可能性があります。
一方、吸引法は小さな切開から汗腺を吸引する方法で、体への負担が少なく回復も早いのが特徴です。
外科手術は一度で効果が持続するため、重度のワキガに悩む方に適した治療法といえます。
市販のワキガ対策商品で改善しない場合は病院に相談を
市販の制汗剤を使用しても効果が得られない場合や、臭いが周囲に指摘されるほど強い場合は、医療機関で相談することが重要です。
医師は、患者の症状を診断し、症状の程度や生活スタイルに合わせた最適な治療法を提案してくれます。
また、治療を早めに開始することで、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。
市販品で十分な効果が得られない場合は、専門的な診断と治療を受けることを検討してみてください。
ワキガについてよくある質問
ワキガ対策商品を使用するタイミングは?
一般的に、制汗剤やデオドラントは入浴後や朝の外出前、清潔な状態の肌に使用するのが最適です。
特に、汗をかく前に塗布することで、汗腺を抑制し臭いの発生を防ぎます。また、日中に汗をかいた場合は、脇の下を軽く拭き取り、再度塗り直すと効果的です。
市販で買えるワキガ対策商品は思春期の子どもでも使用できる?
思春期の子どもでも市販のワキガ対策商品を使用することは可能ですが、肌が敏感な場合には注意が必要です。
特に強い成分が含まれる製品は刺激を感じることがあるため、敏感肌用や低刺激タイプの製品を選ぶことをおすすめします。
市販の制汗剤で臭いを完全に抑えることはできますか?
市販の制汗剤は、臭いを抑えるのに高い効果を発揮しますが、完全に臭いをゼロにすることは難しいです。
特に重度のワキガの場合、市販品では十分な効果を感じられないことがあります。その場合は、医療機関での治療を検討してください。
食事療法はワキガの改善に効果ありますか?
食事療法はワキガの改善に一定の効果があるとされています。
脂肪分やスパイスの多い食事は、アポクリン汗腺から分泌される汗の成分を変化させ、臭いを強くする原因となる場合があります。
そのため、野菜や果物を多く摂り、バランスの取れた食生活を心がけることが推奨されます。
ただし、食事療法だけで根本的な改善を目指すのは難しいため、他の対策と併用することが重要です。
まとめ
ワキガ対策には、市販の制汗剤やデオドラントをうまく活用することが大切です。
本記事で紹介した有効成分やおすすめ商品、選び方を参考に、適切なケアを実践してください。
市販品で効果が得られない場合は、医療機関での治療を検討することで、より快適な生活を手に入れましょう。
参考資料