膣カンジダは、多くの女性が経験する可能性のある症状ですが、適切な治療を行うことで早期に改善が期待できます。
本記事では、市販で購入できる膣カンジダに効果的な抗真菌薬を紹介し、膣錠や塗り薬の効果や使い方について詳しく解説していきます。
さらに、カンジダ症の原因や症状など、悩みを解消するための具体的な情報をお届けします。
膣カンジダとは?原因や症状について
膣カンジダは、カンジダ菌という真菌が原因で膣内に炎症を引き起こす疾患です。
この病気は「外陰膣カンジダ症」や「カンジダ外陰膣炎」とも呼ばれ、特に女性に多く見られる感染症の一つです。
膣カンジダになったときの症状
カンジダ症になった場合に現れやすい症状をまとめました
- かゆみ:外陰部や膣周辺に強いかゆみを感じる
- おりものの異常:白っぽく固まったおりものが増える(カッテージチーズ状)
- 赤みや腫れ:膣や外陰部に赤みや腫れがでる
- 痛み:性交時や排尿時に痛みを伴うことがある
膣カンジダ症になる原因は?
膣カンジダは、膣内の真菌(カンジダ菌)が増殖することで発症します。
膣カンジダになる原因はさまざまですが、以下のような要因がその引き金となります。
抗生物質を使用すると膣内の善玉菌が減少し、その結果カンジダ菌が増えカンジダ症を引き起こすことがあります。
また、妊娠や月経、ピルの使用などでホルモンバランスが乱れ膣カンジダになる場合もあります。
さらに、ストレスや疲労、風邪による免疫力の低下もカンジダ菌の増殖を助長します。
性行為による感染はまれ
膣カンジダ症は、性行為による感染と誤解されがちですが、実際に性行為が原因となるケースは全体の5%~10%ほどとされています。
膣カンジダの主な原因は、体内環境の変化や免疫力の低下であり、性行為が発症に直接関与することは稀です。
膣カンジダ症は市販の薬でよくなるの?薬の選び方
膣カンジダ症の市販薬は、過去に医師の診断・治療を受けた人が、再発時に使用できます。
初めて膣カンジダの症状が現れた場合、自分で膣カンジダ症か他の疾患か判断が難しいため、婦人科または産婦人科を受診してください。
再発であれば、カンジダ菌を殺菌する市販の真菌薬で症状を改善することができます。
カンジダ症の市販薬には、膣内に挿入するタイプの「膣錠」と外陰部に塗る「塗り薬」があります。
症状がでている部位や使いやすさに応じて選ぶと良いです。また、膣錠と塗り薬を併用してもかまいません。
膣錠タイプが向いている人
錠剤タイプは、膣内のかゆみやおりものの異常が主な症状の場合に適しています。膣内に錠剤の有効成分が溶け、直接カンジダ菌を殺菌することで効果を発揮します。
とくに、おりものが白く濁り、カッテチーズや酒粕のような状態になる典型的な症状がある場合に有効です。
膣錠には、ゆっくり溶ける通常の錠剤タイプと素早く溶ける発泡タイプがあり、おりものが少ない場合は、発泡タイプが使いやすいでしょう。
また、膣錠を膣内に挿入するのが不安な方は、専用のアプリケーターを使うと簡単にお薬を膣内へ入れることができます。
錠剤を初めて使用するという方や爪が長いネイルをしている方は、アプリケーター付きの市販薬を選ぶとよいです。
塗り薬タイプが向いている人
塗り薬タイプは、外陰部のかゆみや赤みが主な症状の場合に適しています。外陰部に直接塗ることでかゆみや炎症を緩和し、初心者でも手軽に使用できます。
外用薬には、フェミニーナ軟膏やエンペシドクリームなどがあり、外陰部の症状に即効性を発揮します。
膣錠と塗り薬を併用するのが良い人
膣内と外陰部の両方に症状のある方は、膣錠と軟膏を併用することで総合的なケアが可能です。
この併用により、膣内外のカンジダ菌を同時に対処することができ、根本的な治療を目指せます。
そのため、症状が広範囲にわたる場合には、膣錠と塗り薬の併用をおすすめします。
膣カンジダ症に効く抗真菌薬を紹介
膣カンジダ症の市販薬を選ぶ際は、以前医師から処方されたものと成分に似ているものを選びましょう。
わからない場合、以下の抗真菌薬成分が配合されているものを選ぶとカンジダ菌に対して効果が期待できます。
- クロトリマゾール
- ミコナゾール
- イソコナゾール
- オキシコナゾール
これらの成分が含まれる市販薬は、膣カンジダの治療に有効とされています。
使用前にくすりの説明書を読み、正しい方法で使用することが大切です、選ぶのに迷った場合は薬剤師に相談するのも良い方法です。
【薬剤師が選ぶ】市販で買える膣カンジダ症のお薬を紹介!
ここでは、ドラッグストアやネット通販で購入できる膣カンジダ症用の市販薬を紹介します。
市販薬を選ぶ際のポイントとして、以前病院で処方された薬と同じ、または似た成分を選ぶとより効果的な治療が期待できます。
また、膣錠と塗り薬(軟膏)を併用する場合は、同じシリーズの製品を選ぶことで成分の相乗効果が得られやすく、症状の改善がスムーズになります。
メンソレータム フレディCC1
腟カンジダの再発治療にたった1回の使用で効く!
メンソレータムフレディCC1シリーズは、有効成分イソコナゾール硝酸塩を1錠あたり600mg配合する膣カンジダ再発治療薬です。
挿入後、腟内の水分で柔らかく崩れて腟内に留まり、有効成分イソコナゾール硝酸塩が腟内全体に広がることで、原因菌をしっかりと殺菌します。
また、アプリケーター付きのタイプもあり、慣れない方でも正確な位置に挿入しやすい設計となっています。
販売元 | ロート製薬 |
剤形・サイズ | 膣錠 |
効能・効果 | 腟カンジダの再発。(以前に医師から、腟カンジダの診断・治療を受けたことのある人に限る。) |
有効成分 | イソコナゾール硝酸塩 600mg |
用法用量 | 成人(15歳以上60歳未満)1回1錠を(できれば就寝前)腟深部にアプリケーターで挿入してください。 ただし、3日間経過しても症状の改善がみられないか、6日間経過しても症状が消失しない場合は医師の診療を受けてください。 |
種別 | 第1類医薬品 |
オキナゾールL100
外陰部の不快な症状も軽減
腟カンジダの原因は多くの場合、カンジダ・アルビカンスという菌によるものですが、近年ではカンジダ・グラブラタが関与するケースも増加しています。
このグラブラタ菌は、治療が難しい難治性菌として知られていますが、抗真菌成分であるオキシコナゾール硝酸塩の強力な殺菌作用を持つオキナゾールLは、この菌にも高い効果を発揮します。
さらに、腟内やおりものの異常だけでなく、外陰部の強いかゆみや赤み、腫れといった不快な症状を軽減し、快適な状態を取り戻します。
販売元 | 田辺三菱製薬 |
剤形 | 膣錠 |
効能・効果 | 腟カンジダの再発。(以前に医師から、腟カンジダの診断・治療を受けたことのある人に限る。) |
有効成分 | オキシコナゾール硝酸塩 100mg |
用法用量 | 成人(15才以上60才未満)1日1回1錠を腟深部に挿入してください(就寝前が望ましい)。6日間連続して使用してください。ただし、3日間使用しても症状の改善がみられないか、6日間使用しても症状が消失しない場合には医師の診療を受けてください。 |
種別 | 第1類医薬品 |
エンペシドL(膣錠)
腟内全体に行き渡りやすい発泡錠
腟カンジダの主な原因菌はカンジダ・アルビカンスで、これに対してクロトリマゾールは優れた抗菌効果を発揮します。
エンペシドLは水分と反応して速やかに発泡しながら崩れる発泡錠で、有効成分が腟内全体に行き渡りやすい設計です。これにより、腟内の菌を効率よく殺菌し、症状を和らげます。
また、外陰部のかゆみや発疹がある場合には、クリームを併用することで、より総合的なケアが可能です。
販売元 | 佐藤製薬 |
剤形 | 膣錠 |
効能・効果 | 腟カンジダの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る)。 |
有効成分 | クロトリマゾール100mg |
用法用量 | 成人(15歳以上60歳未満)1日1回(できれば就寝前)、1錠を腟深部に挿入する。6日間毎日続けて使用すること。 ただし、3日間使用しても症状の改善がみられないか、6日間使用しても症状が消失しない場合は医師の診療を受けること。 |
種別 | 第1類医薬品 |
エンペシドLクリーム
やわらかくのびやすいクリーム
エンペシドLクリームは、柔らかく伸びが良い使用感が特徴で、外陰部のかゆみや発疹に効果的な治療薬です。
無着色でにおいもほとんどないため、快適に使用できます。また、腟錠タイプのエンペシドLと同じ有効成分であるクロトリマゾールを配合しており、カンジダ菌に対して優れた抗真菌作用を発揮します。
腟錠と併用することで、内外両方からの総合的なケアが可能です。
販売元 | 佐藤製薬 |
剤形 | クリーム |
効能・効果 | 腟カンジダの再発による、発疹を伴う外陰部のかゆみ(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る) ただし、腟症状(おりもの、熱感等)を伴う場合は、必ず腟錠(腟に挿入する薬)を併用すること。 |
有効成分 | 100g中 クロトリマゾール1g |
用法用量 | 成人(15 歳以上60 歳未満)、1 日2 ~ 3 回適量を患部に塗布する。ただし3 日間使用しても症状の改善がみられないか、6 日間使用しても症状が消失しない場合は医師の診断を受けること。 外陰部の症状のみの場合: 本剤を使用すること。ただし、腟錠(腟に挿入する薬)を併用することが望ましい。 腟症状(おりもの、熱感等)を伴う場合: 腟錠(腟に挿入する薬)を併用すること。 |
種別 | 第1類医薬品 |
メンソレータム フレディCCクリーム
日中の不快感を手軽にケア
フレディCCクリームは、有効成分としてイソコナゾール硝酸塩を配合し、膣カンジダの再発による外陰部のかゆみや発疹などの不快な症状を和らげる外用薬です。
ベタつきにくいクリームで塗り心地が良く、携帯にも便利なため、日中の不快感を手軽にケアすることが可能です。
膣カンジダによる外陰部の症状を効率よく緩和したい方におすすめの製品です。
販売元 | ロート製薬 |
剤形 | クリーム |
効能・効果 | 膣カンジダの再発による、発疹を伴う外陰部のかゆみ(以前に医師から、膣カンジダの診断・治療を受けたことのある人に限る。)ただし、膣症状(おりもの、熱感等)を伴う場合は、必ず膣剤(膣に挿入する薬)を併用すること。 |
有効成分 | イソコナゾール硝酸塩 1% |
用法用量 | 成人(15歳以上60歳未満)、1日2~3回適量を患部に塗布する。ただし、3日間使用しても症状の改善がみられないか、6日間使用しても症状が消失しない場合は医師の診療を受けること。 外陰部症状のみの場合:本剤を使用すること。ただし、膣剤(膣に挿入する薬)を併用することが望ましい。 膣症状(おりもの、熱感等)を伴う場合:膣剤(膣に挿入する薬)を併用すること。 |
種別 | 第1類医薬品 |
メディトリートクリーム
外陰部のかゆみを伴う不快な症状をやわらげる
メディトリートクリームは、外陰部のかゆみを伴う不快な症状をやわらげる外陰用クリームです。
有効成分としてミコナゾール硝酸塩を配合しており、カンジダ菌に対する強い抗菌作用を発揮します。
クリームタイプでべたつきが少なく、患部に塗り広げやすいのが特徴です。また、持ち運びやすいコンパクトなサイズ感で、外出先でも手軽にケアできます。
販売元 | 大正製薬 |
剤形 | クリーム |
効能・効果 | 腟カンジダの再発による、発疹を伴う外陰部のかゆみ(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る)ただし、腟症状(おりもの、熱感等)を伴う場合は、必ず腟剤(腟に挿入する薬)を併用してください。 |
有効成分 | 1g中 ミコナゾール硝酸塩10mg |
用法用量 | 成人(15歳以上60歳未満)、1日2~3回、適量を患部に塗布してください。ただし、3日間使用しても症状の改善がみられないか、6日間使用しても症状が消失しない場合は、医師の診療を受けてください。 外陰部症状のみの場合:本剤を使用してください。腟剤(腟に挿入する薬)との併用が望まれます。 腟症状(おりもの、熱感等)を伴う場合:本剤に腟剤(腟に挿入する薬)を併用してください。 ※ご使用の前に入浴するか、ぬるま湯で患部を清潔にし、使用してください。 |
種別 | 第1類医薬品 |
膣以外のカンジダ治療について
カンジダ菌は、口腔内や皮膚にも感染することがあります。
治療には、基本的に抗真菌薬を使用しますが、口腔内のカンジダ感染については市販薬が販売されていないため、医療機関での診断と処方が必要になります。
一方で、軽度の皮膚カンジダ症の場合は、抗真菌薬を含む外用薬が市販されているため、ドラッグストアや零売薬局で購入することが可能です。
カンジダに似た症状の病気
以下の病気は膣カンジダと似た症状を引き起こすことがあります。
- 細菌性膣炎:悪臭を伴うおりのもが特徴
- トリコモナス膣炎:外陰部のかゆみと黄緑色のおりものと泡立ちが見られる
- 性器ヘルペス:外陰部の痛みや潰瘍が現れる
- 性器クラミジア:初期症状が軽い場合が多く気づきにくいですが、おりものの増加や下腹部痛を引き起こす
- 淋病:おりものが増えたり膿状になることが特徴で排尿時の痛みを伴うことがある
これらの疾患は、カンジダ症と異なる治療法を必要とするため、症状がカンジダ症に似ていても医療機関での正確な診断が重要です。
男性がカンジダ症になったら?治療法について
カンジダ症は女性特有の病気と考えられがちですが、男性も発症することがあります。
カンジダ菌は、男性の体内にも常在しており、免疫力が低下すると増殖しやすくなります。
とくに、糖尿病を患っている方やステロイド剤、抗生物質を使用している方、包茎の方はリスクが高く、亀頭(きとう)や包皮にかゆみや違和感が生じる亀頭包皮炎として発症することが一般的です。
治療には医師から処方される抗真菌薬が使用されます。
男性の性器カンジダ症に市販薬はなく、症状が出た場合は泌尿科を受診する必要があります。
カンジダ症についてよくある質問
膣カンジダはどのくらいで治る?
膣カンジダは、市販の抗真菌薬を正しく使用すれば、通常1週間程度で症状が改善します。
市販薬を使用して1週間経過しても、症状の改善がみられない場合は他の原因や病気が疑われるため、病院で診察を受けることをおすすめします。
膣カンジダの市販薬はいつまで使い続けたらよい?
膣カンジダ症の薬は、症状が治まっても指定された使用期限を最後まで守る必要があります。
症状が改善しても治療を途中でやめず、くすりの説明書に記載された期間を守ることが大切です。
カンジダ症の飲み薬はありますか?
カンジダ症に対する飲み薬(内服薬)はあります。ただし、飲み薬は医師の診断を受けた場合に処方されるもので、市販されているものはありません。
飲み薬を使用したい場合は、医療機関を受診し治療をうける必要があります。
カンジダは他の人にうつる?
カンジダ症は通常、食事やお風呂などで他人にうつることはありません。
ただし、タオルの共有や性行為を通じて、感染することがあります。
そのため、治療中はタオルや下着を他の人と共通しないよう注意が必要です。
カンジダ治療中に性行為してもよい?
治療中の性行為は、症状を悪化させる可能性やパートナーに感染するリスクがあるため、控えることが推奨されます。
特に、カンジダ症の症状が見られる場合は、性行為を避け、パートナーと同時に治療を受けることが大切です。
これにより、感染の再発やお互いへの再感染を防ぐことができます。
生理中でも膣カンジダ症の市販薬を使用してもよい?
生理中は、膣錠や膣坐薬の使用は避けてください。
経血によって薬剤が流れ出てしまい、効果が十分に得られない可能性があるためです。
また、治療中に生理が始まった場合でも、同様の理由で一時的に使用を中止してください。
薬の使用を開始する際は、生理予定日を考慮して6日間連続で使用できるタイミングを選ぶと良いでしょう。
妊娠中にカンジダ症の市販薬を使ってもよい?
妊娠中は、カンジダ症の市販薬を含め、自己判断で薬を使用することは避け、必ず医師へ相談してください。
一部の抗真菌薬は妊娠中でも安全に使用できる場合がありますが、胎児への影響を考慮し、医師の指示に従った適切な治療が必要です。
クロトリマゾールの市販薬はありますか?
クロトリマゾールを含む市販薬は、ドラッグストアやネット通販、零売薬局で購入できます。
膣錠や塗り薬として広く販売されており、膣カンジダ症に効果的です。
まとめ
膣カンジダ症の市販薬は、過去に医師の診断や治療を受けた人が、再発時に使用することができます。
再発の症状であれば、ドラッグストアやネット通販、零売薬局で購入できる膣カンジダ症の市販薬で改善が期待できます。
ご自身の症状にあわせて、膣錠や塗り薬などの市販薬を正しく選び、適切に使うことで多くの場合改善が見込まれます。
ただし、初めての症状や市販薬を使っても改善しない場合は、必ず医師へ相談してください。
生活習慣の見直しや衛生管理を徹底することで、再発防止にもつながります。
症状に合わせた対策を行い、健康な日常を取り戻しましょう。