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メトホルミンとリベルサスどっちがいい?同時に飲むのはアリ?徹底比較

メトホルミンとリベルサスは、どちらも2型糖尿病の治療薬に使われているお薬ですが、最近では血糖コントロールに加えて「痩せる薬」として注目されるようになってきました。

では実際のところ、メトホルミンとリベルサスでは、どちらの方がよりダイエットに効果的なのでしょうか?

また、両方を併用するのは安全なのでしょうか?

この記事では、2つの薬の違いや使い方、ダイエット目的での選び方について、専門的な視点からわかりやすく解説していきます。

メトホルミンとリベルサスどっちが痩せる?

「どっちが痩せやすいのか?」という点では、リベルサスの方が短期的な体重減少の実績が多く報告されています。

リベルサスは、GLP-1受容体作動薬という分類に属し、脳に作用して食欲を抑える働きがあります。さらに、胃の動きを遅くすることで満腹感が長く続き、食事量が無理なく減るのが特徴です。

一方、メトホルミンはインスリンの効き目を改善し、糖の吸収や生成を抑えることで血糖値を下げる薬です。その副次的な効果として、食欲が安定したり、脂肪の蓄積が抑えられるため、ゆるやかに体重が減っていく傾向があります。

メトホルミンの瘦せる作用について

メトホルミンは、継続して服用することで体重が少しずつ減少する可能性があることが、いくつかの研究から示されています。

例えば、ある試験ではメトホルミンを1年間服用した被験者において、平均して約1.3kgの体重減少が確認されています。
また別の調査でも、1年間の服用によりおよそ1.7〜3kgの体重が減ったという報告もあります。

参考資料>>>jstage|2 型糖尿病治療におけるメトホルミンの 使用実態に関する観察研究(MORE study)

リベルサスの瘦せる作用について

リベルサスは短期間でもある程度の減量が期待でき、長期的な使用によってより大きな体重減少が見込める薬として注目されています。

臨床データでも、半年ほどの服用で体重の約5%が減少した例が多く報告されています。
たとえば体重70kgの人なら、約3.5kgの減量が期待できる計算です。

また、肥満のある患者にセマグルチド(リベルサス・オゼンピック)を15か月間投与したところ、平均で15kgの体重減が認められたという結果もあります。

 参考資料>>>JAMA. 2021 Apr 13; 325(14): 1–12.|Effect of Continued Weekly Subcutaneous Semaglutide vs Placebo on Weight Loss Maintenance in Adults With Overweight or Obesity

ただし、効果の現れ方や副作用のリスクは個人差があるため、一概にどちらが優れているとは言えません。

メトホルミンとはどんなお薬?

メトホルミンは、2型糖尿病の治療薬として世界中で広く使用されている内服薬です。

メトホルミンの大きな特徴は、インスリンの分泌を促すのではなく、体の各器官に直接働きかけて血糖値を下げていくという点にあります。

つまり、インスリンを無理に出させることなく、自然な仕組みで糖の代謝を助けてくれるのです。

具体的には、肝臓で新しく糖を作る働きを抑え、血液中に放出される糖の量を減らします。また、筋肉や脂肪の細胞が糖を取り込みやすくなるように働きかけ、体がエネルギーとして糖をしっかり使えるようにします。さらに、小腸での糖の吸収をゆるやかにする作用もあり、食後の急激な血糖値の上昇を防ぐ助けになります。

これらの作用によって、血糖値を安定させるだけでなく、長期的に見れば体重の管理にもつながる可能性があります。実際に、ダイエットやダイエット後の体重維持を目的として処方されるケースもあります。

メトホルミンの副作用について

メトホルミンは、一般的に安全性が高いとされていますが、服用を始めたばかりの時期や、用量が増えたタイミングで消化器系の副作用が現れることがあります。

具体的には、下痢、腹痛、吐き気、食欲不振、胃の不快感などが挙げられます。これらの症状は、服用を続けるうちに体が慣れて軽減されることが多いですが、つらいと感じた場合は無理をせず、医師に相談しましょう。

また、ごくまれにではありますが、「乳酸アシドーシス」という重篤な副作用が起こる可能性もあります。強い疲労感、息苦しさ、筋肉痛などの異変を感じた場合は、すぐに受診してください。

リベルサスとはどんなお薬?

リベルサスは、2型糖尿病の治療に使用される飲み薬で、GLP-1受容体作動薬という種類のお薬です。

GLP-1製剤は、もともと注射による投与が一般的でしたが、リベルサスはこれを飲み薬として服用できるように開発されました。

リベルサスの大きな特徴は、インスリン分泌をサポートしつつ、食欲を抑える作用があることです。

具体的には、リベルサスは食事をすると腸で分泌されるGLP-1というホルモンに似た働きをし、インスリンの分泌を助け、同時に胃の動きをゆるやかにして、満腹感を長く保つように働きます。

また、脳の満腹中枢にも作用するため、食欲が抑えられ、摂取カロリーを減らすことができるのが大きなポイントです。

これらの作用により、血糖値を効果的に下げるだけでなく、体重の減少が期待できることから、近年では「飲むダイエット薬」としても話題になることが増えています。

もちろん、すべての人に劇的な減量効果があるわけではありませんが、生活習慣の改善と組み合わせることで、より高いダイエット効果が見込める薬として医療現場でも注目されています。

リベルサスの副作用について

リベルサスには、特に服用初期に消化器系の副作用が出やすい傾向があります。よく見られる症状には、吐き気、胃もたれ、便秘、お腹の張り、食欲不振などがあります。

これらは体が薬に慣れるまでの一時的なものであることも多く、継続して服用する中で自然と軽くなっていく場合もあります。

ただし、注意が必要な副作用もあります。中でも、低血糖、膵炎、腎機能の低下といった症状には気を配る必要があります。

不安な症状が続く場合は、すぐに医師に相談しましょう。

メトホルミンとリベルサスの違いを解説!

よくある質問

メトホルミンとリベルサス、どちらもダイエット目的で使用するという点では同じですが、作用の仕方や飲み方、効果の出方は大きく異なります。

「メトホルミン」と「リベルサス」2つの薬の基本的な違いを見ていきましょう。

作用の仕組みの違い

メトホルミンは、インスリンの分泌を促すことなく血糖値を下げる薬です。

肝臓で新たに糖が作られるのを抑えると同時に、筋肉や脂肪で糖を使いやすくし、小腸での糖の吸収もゆるやかにします。つまり、体の各所に直接働きかけてインスリンに頼らずに血糖をコントロールするのが特徴です。

一方のリベルサスは、GLP-1受容体作動薬に分類される薬で、体内のGLP-1ホルモンと似た働きをします。

食事の後にインスリンの分泌を促すだけでなく、胃の動きを遅らせて満腹感を持続させ、食欲を抑えてくれる作用があります。血糖コントロールと食欲抑制を両立するのがリベルサスの大きな特徴です。

飲み方の違い

メトホルミンは、通常1日2~3回、食後に服用します。

一方で、リベルサスは、1日1回起床時に空腹の状態で服用し、その後30分間は飲食を控える必要があります。

減量(ダイエット)効果の違い

メトホルミンは、急激に体重を落とす薬ではありませんが、糖の代謝を改善しながら、長期的に体重をコントロールしていくことが期待できます。

実際に、ある研究では、メトホルミンを1年間継続して服用した人の体重が平均1.3kg〜3kg程度の減少したという報告もあります。

一方リベルサスは、比較的短期間で体重を減らす効果が期待できる薬です。

あるデータでは、リベルサスを服用して5か月で体重の約10%、15か月で15kg前後の体重減少が見られたというデータがあります。

リベルサスは、脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑える作用があるため、食べ過ぎを防ぎたい人、ダイエット効果を早く実感したい人に適しているお薬です。

メトホルミンとリベルサスの違いを表で簡単チェック!

比較項目 メトホルミン リベルサス
主成分 メトホルミン塩酸塩錠 セマグルチド
特徴 価格が手頃で、長期服用しやすい 食欲を抑える効果が強く、短期的な体重減少が期待できる
体重の変化 ゆっくりと体重が落ちる。(平均で1年で1.2㎏ほど) 半年以内に体重の5%前後の減少がみられるケースが多い
副作用 軽度の胃腸障害が出ることがある 吐き気・胃の不快感が出やすい
費用の目安 約1,000~2,000円/月(ジェネリック使用時) 約8,000円~15,000円/月(容量やクリニックよって差がある)

メトホルミンとリベルサス、同時併用してもよい?

薬の錠剤

メトホルミンとリベルサスは、併用が可能なお薬です。実際、糖尿病の治療においては、異なる作用機序をもつ2剤を組み合わせて処方されるケースもあります。

ただし、「痩せること」を主な目的とする場合には、必ずしも併用が最適とは限りません。

たとえば、リベルサスの用量を増やすことで十分な減量効果が得られる場合もありますし、より強力なGLP-1受容体作動薬であるオゼンピックなどに切り替える選択肢も考えられます。

いずれの場合も、薬剤の追加や変更は自己判断ではなく、医師の診察と管理のもとで慎重に行うことが重要です。副作用や体質との相性をふまえながら、最適な治療プランを相談していきましょう。

メトホルミンとリベルサス、併用時の飲み方について

メトホルミンとリベルサスは、服用タイミングが異なるため、正しい飲み方を理解しておくことが重要です。

  • リベルサスは、朝起きた直後の空腹時に服用します。服用後30分間は、飲食・他の薬の服用は避ける必要があります。
  • メトホルミンは、基本的に朝食・昼食・夕食の食後に服用する薬です。

例えば、「リベルサスを起床後すぐに飲み、30分後に朝食と一緒にメトホルミンを飲む」という流れが、併用時の基本スタイルになります。

メトホルミンとリベルサスの併用を始める・続ける場合は、必ず医師の指示に従いましょう。

メトホルミンとリベルサスの費用相場は?

ダイエットを目的としてメトホルミンやリベルサスを服用する場合、どちらも自費診療(自由診療)での処方が基本となります。保険適用外のため、費用は全額自己負担となる点に注意が必要です。

メトホルミンは、ジェネリック医薬品が豊富に流通しているため、1か月あたり1,000円〜2,000円程度と非常に手頃な価格で処方を受けることができます。継続しやすいコスト感が魅力です。

一方のリベルサスは、比較的新しい薬であり、用量によって価格に幅があります。3mg・7mg・14mgと用量が増えるにつれて価格も上がる傾向にあり、1か月あたりの費用はおおよそ8,000円〜15,000円程度が目安です。

メトホルミンやリベルサスを購入するには?

メトホルミン、リベルサスを購入する方法は、以下2つです。

  • 医療機関に通院する
  • オンライン診療を利用する

どちらの薬も、ドラックストアやAmazonなどの通販サイトでは市販されておらず、医師による診察と処方が必要な「医療用医薬品」です。

最近では、スマホひとつで簡単に受診できるオンライン診療の利用が広がっており、オンライン診療を利用すれば、自宅にいながら診察と薬の処方が完了します。

忙しい方や、近くに適切な医療機関がない方にとっては、オンライン診療クリニックを選択肢のひとつとして考えておくと便利です。

まとめ

メトホルミンとリベルサスは、どちらも糖尿病治療薬として使用される薬ですが、作用の仕組み・飲み方・体重への影響などに明確な違いがあります。

メトホルミンは、糖の代謝を整えながら体質を改善していくタイプの薬で、穏やかに体重を落としたい方や、費用を抑えたい方に向いています。

一方で、リベルサスは食欲を抑える効果が高く、短期間での体重減少が期待できる薬です。

そのため、ダイエットを主な目的として使用するのであれば、リベルサスの方がより適していると言えるでしょう。

どちらの薬を使うか、または併用するかは目的や体質によって異なります。

服用を検討する際は、医師と相談のうえ、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

 

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リベルサスは市販で買える?購入方法や価格相場について解説

参考資料

日本糖尿病学会誌第60巻第9号|3.GLP-1 受容体作動薬の体重減少効果

リベルサス添付文書│PMDA

この記事を書いた人
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薬剤師 森 佑貴

ユウキ薬局代表。保険薬局で薬剤師として5年間勤務した後、零売専門薬局「ユウキ薬局」を開業。現場で薬剤師として勤務する傍ら、「一般の方向け」に「わかりやすく」お薬の情報を届けられるように記事を執筆しています。

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