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市販のビオフェルミンSと医療用ビオフェルミンの違いを解説

今回は市販で購入できるビオフェルミンSと病院で処方されるビオフェルミンの違いについてお話ししていきます。

便秘や軟便、腹部膨満感などお腹の不調や腸活のために整腸剤を服用している方も多いと思います。

整腸剤といえば、ビオフェルミン製薬株式会社が製造しているビオフェルミンがよく知られていますが、

医療用医薬品のビオフェルミンと医薬部外品のビオフェルミンSでは含有される菌に違いがあります。

処方薬ビオフェルミンと市販のビオフェルミンSの有効成分の違いを比較

商品名 ビフィズス菌 乳酸菌 糖化菌
【医療用】ビオフェルミン錠剤    
【医療用】ビオフェルミン配合散  
【市販薬】新ビオフェルミンS錠  
【市販薬】新ビオフェルミンS細粒  

医療用ビオフェルミン錠剤の配合成分

1錠中に次の成分を含有します。(1日量3~6錠)

  • ビフィズス菌…12mg

添加物として、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、白糖、沈降炭酸カルシウム、アメ粉、フラクトオリゴ糖、無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウムを含有します。

医療用ビオフェルミン配合散の配合成分

1g中に次の成分を含有します。(1日量3~9g)

  • ラクトミン(乳酸菌)…6mg
  • 糖化菌…4mg

添加物として、バレイショデンプン、乳糖水和物、沈降炭酸カルシウム、白糖を含有します。

市販薬ビオフェルミンS錠の配合成分

1錠中に次の成分を含有します。(1日量9錠)

  • コンク・ビフィズス菌末…2mg
  • コンク・フェーカリス菌末(乳酸菌)…2mg
  • コンク・アシドフィルス菌末(乳酸菌)…2mg

添加物として、トウモロコシデンプン、デキストリン、乳糖水和物、沈降炭酸カルシウム、アメ粉、白糖、タルク、ステアリン酸マグネシウムを含有します。

市販薬ビオフェルミンS細粒の配合成分

1g中に次の成分を含有します。(1日量3g)

  • コンク・ビフィズス菌末…6mg
  • コンク・フェーカリス菌末(乳酸菌)…6mg
  • コンク・アシドフィルス菌末(乳酸菌)…6mg

添加物として、トウモロコシデンプン、デキストリン、アメ粉、沈降炭酸カルシウムを含有します。

医療用ビオフェルミンは錠剤・粉タイプで菌の種類が違う

病院で処方されるビオフェルミンは錠剤タイプと粉タイプで菌の種類が異なります。

菌の種類は異なりますが、適応症はどちらも同じで「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」を目的に使用されます。

  • ビオフェルミン錠剤…ビフィズス菌
  • ビオフェルミン配合散…ラクトミン(乳酸菌)、糖化菌

市販薬ビオフェルミンは錠剤・粉タイプで菌の種類は同じ

市販で購入できるビオフェルミンの錠剤タイプと粉タイプは、菌の種類は同じです。

  • コンク・ビフィズス菌末
  • コンク・フェーカリス菌末(乳酸菌)
  • コンク・アシドフィルス菌(乳酸菌)

「コンク」というのは濃縮という意味で、菌の集まりを濃縮して粉末にして薬に加工しています。

また、市販の「新ビオフェルミンSプラス」は、この3種類の菌に新たにロンガム菌(ビフィズス菌の一種)がプラスされた整腸剤です。

ビフィズス菌・乳酸菌・糖化菌の特徴

ビフィズス菌

酸素があると生育できない偏性嫌気性菌に分類され、主に大腸にすみつき、乳酸と酢酸を産生します。

大腸において、善玉菌であるビフィズス菌と乳酸菌の割合は、99.9%がビフィズス菌で0.1%が乳酸菌です。

また、ビフィズス菌は、生まれて間もない赤ちゃんの腸内にも存在し腸内フローラの大半を占めています。 

乳酸菌

乳酸を産生する菌の総称です。

酸素があっても生育できる通性嫌気性菌に分類され、主に小腸にすみつきます。

広い意味ではビフィズス菌も乳酸菌の仲間になります。

乳酸と酢酸をつくるビオフェルミンに対して、乳酸菌は主に乳酸をつくります。

糖化菌

酸素がないと生育できない偏性好気性菌に分類され、小腸上部に住みつきます。

腸内で食物繊維から糖を産生し、乳酸菌やビフィズス菌の増殖をサポートします。

市販の新ビオフェルミンSはどこで買える?

新ビオフェルミンS錠は指定医薬部外品に分類されるので薬局、ドラックストアだけでなくスーパーやコンビニ、ネット通販でも購入することが可能です。

しかし、店舗に行っても売っていないということもあるので、事前にお店に在庫を確認するか、インターネット通販での購入がオススメです。

医療用ビオフェルミンと市販のビオフェルミンSの用法の違い

医療用ビオフェルミン錠剤の用法・用量

通常、成人1日3〜6錠を3回に分けて服用します。なお、年齢、症状により適宜増減します。

医療用ビオフェルミン配合散の用法・用量

通常、成人1日3〜9gを3回に分けて服用します。なお、年齢、症状により適宜増減します。

市販薬ビオフェルミンS錠の用法・用量

年齢 1回量 1回服用回数
15歳以上 3錠 3回
5歳~14歳 2錠 3回
5歳未満 服用しないこと

市販薬ビオフェルミンS細粒の用法・用量

年齢 1回量 1回服用回数
15歳以上 1g 3回
5歳~14歳 2/3g 3回
3ヶ月~4歳 1/3g 3回
3ヶ月未満 服用しないこと

まとめ

医薬部外品のビオフェルミンSと医療用医薬品のビオフェルミンは含有する成分が違います。

さらに医療用医薬品のビオフェルミンは錠剤、粉タイプで成分が異なっています。

基本的に整腸剤は菌種の違いで使い分けることはありませんが、菌種により消化管部位に対する親和性の違いがあるのでどの整腸剤が合うかは人それぞれです。

市販薬を使用する場合、1ヶ月程度続けてみても気になる症状が改善しないようであれば一度受診するようにしましょう。

 

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参考資料

ビオフェルミン錠剤 (pmda.go.jp)

ビオフェルミン配合散 (pmda.go.jp)

ビオフェルミン製薬 (biofermin.co.jp)

この記事を書いた人
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薬剤師 森 佑貴

ユウキ薬局代表。保険薬局で薬剤師として5年間勤務した後、零売専門薬局「ユウキ薬局」を開業。現場で薬剤師として勤務する傍ら、「一般の方向け」に「わかりやすく」お薬の情報を届けられるように記事を執筆しています。