
この記事では「ロコアテープ」の効果や副作用、使用上の注意、市販薬はあるのかなどについて紹介しています。
ロコアテープは大正製薬が製造販売元であり、変形性関節症による痛みや炎症に処方される貼り薬です。
2024年6月現在、ロコアテープの市販薬は販売されていませんが、零売薬局を利用することで処方箋なしで購入することは可能です。
>>>ロコアテープ | 処方箋なしで買える医療用医薬品
ロコアテープってどんな薬?
ロコアテープの成分と作用
ロコアテープはエスフルルビプロフェンとハッカ油を有効成分とする経皮吸収型の非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)です。
※非ステロイド性消炎鎮痛剤…痛みや炎症のもとである「プロスタグランジン」を抑えることで鎮痛・抗炎症作用を発揮します。
2015年に発売が開始された比較的新しいお薬ですので、ロコアテープのジェネリックはまだ発売されていません。
ジェネリックについてはこちらの記事を参考にしてください。
>>>ジェネリック医薬品は危険なの?新薬との違いや安さの理由を解説
ロコアテープはハッカ油を有効成分に含むのでスースーした使用感、独特なにおいがあります。
また、ロコアテープはロキソニンテープやモーラステープとは違い、10cm×14cmの1サイズのみが販売されています。
規格 | 成分量 |
ロコアテープ(10cm×14cm) | 1枚(膏体1.73g)中にエスフルルビプロフェン40mg、ハッカ油36.2mg |
ロコアテープの効能効果、どんなときに使われる?
ロコアテープは鎮痛・抗炎症作用を期待して、変形性関節症による痛みや炎症に対して処方されます。
変形性関節症とは、関節の軟骨がすり減ることで痛みや炎症が生じ、水がたまったり、骨に棘のような突起ができて関節が変形してしまう病気です。変形性関節症が起こりやすい部位は膝関節や股関節、背骨などですが、体のあらゆる関節で起こる可能性はあります。
ロコアテープの添付文書に記載されている効能効果は次のとおりです。
※添付文書…医療用医薬品の基本的な要約情報
- 変形性関節症における鎮痛・消炎
2024年6月現在、ロコアテープの適応症は変形性関節症のみなので、それ以外の原因でおこる肩こりや腰痛、腱鞘炎などには保険の適用が認められていません。
※適応症…国が認めている薬の使い方。
ロコアテープの使い方
ロコアテープは1日1回、痛みを感じる部位に貼付します。
1日の使用量は最大2枚までです。
ロコアテープ2枚の使用で飲み薬と同じ程度の血中濃度になり、それ以上貼っていまうと副作用が現れやすくなるので、決められた用量を守るようにしてください。
粘膜や傷ついた皮膚、湿疹や発疹の出ている部位には使用してはいけませせん。
また、かぶれを防ぐためにも汗をかいていたり、患部がぬれている場合はよく拭き取ってから使用しましょう。
テープを剥がす際は皮膚を押さえながら、折り返すように剥がすと皮膚への負担が少なくなります。
ロコアテープの市販薬は?
2024年6月現在、ロコアテープの市販薬は販売されておらずドラックストアなどでは購入することができません。
ですが冒頭でもお伝えした通り、ロコアテープは「処方箋医薬品以外の医薬品」に分類されるので、零売薬局を利用すれば処方箋なしで購入することも可能です。
零売についてはこちらの記事を参考にしてください。
ロコアテープの副作用
ロコアテープの副作用は主にかぶれや湿疹などの貼付部位の皮膚症状が報告されています。
1,391症例の臨床試験において、副作用が認められたのは269例(19.3%)415件で主な症状は以下のとおりです。
- 貼付部位の皮膚炎…111例(8.0%)
- 貼付部位の紅斑…44例(3.2%)
- 貼付部位の湿疹…32例(2.3)
- 胃腸障害…19例(1.4%)
- 貼付部位の発疹…15例(1.1%)
重大な副作用
滅多に現れることはありませんが、いくつか重大な副作用も報告されています。
それぞれの主な自覚症状と合わせて記載するので、こういった症状が現れた場合は、ただちに医療機関を受診するようにしてください。
重大な副作用 | 主な自覚症状 |
ショック | めまい、冷や汗、血の気が引く、息切れ、判断力の低下 |
アナフィラキシー | 眼と口唇のまわりのはれ、蕁麻疹、動悸、息切れ、意識の低下 |
急性腎不全 | 尿量が減る、むくみ、体がだるい |
ネフローゼ症候群 | 尿量が減る、排尿時の尿の泡立ちが強い、息苦しい、尿が赤みを帯びる、むくみ |
胃腸出血 | 吐き気、嘔吐、吐いた物に血が混じる、腹痛、便に血が混じる |
再生不良性貧血 | 息切れ、動悸、あおあざができる、出血が止まりにくい、発熱、寒気、喉の痛み |
喘息発作の誘発(アスピリン喘息) | 息をするときゼーゼー、ヒューヒューと音がする、息苦しい |
中毒性表皮壊死融解症(TEN) | 皮膚が広い範囲で赤くなり、破れやすい水ぶくれが多発 |
皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群) | 発熱、目の充血やただれ、唇や口内のただれ |
剥奪性皮膚炎 | ほぼ全身の皮膚が発赤する、フケやかさぶたのようなものを付着し、それがはがれ落ちる |
意識障害、意識障害を伴う痙攣 | 意識の低下、顔や手足の筋肉がぴくつく、手足の筋肉が硬直しガクガクと震える |
上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談してください。
ロコアテープの使用上の注意
高齢者への投与
高齢者では副作用が現れやすいので、使用する部位の皮膚の状態に注意しながら使用してください。
妊娠中や授乳中の使用
妊娠後期(妊娠28週以降)の女性には使用できません。
妊婦(妊娠後期以外)又は妊娠している可能性のある女性には、使用経験が少なく安全性が確立されていないので、医師の指示なく使用してはいけません。
授乳中の方は基本的に使用してはいけません。動物実験において薬の成分が母乳中へ移行することが確認されています。やむを得ず使用する場合は医師の指示に従ってください。
小さな子どもへの使用
ロコアテープは新生児、乳幼児、小児などに対する使用経験が少なく、安全性は確立されていないので、医師の指示なく使用してはいけません。
ロコアテープを使用できない人【禁忌】
以下に該当する方はロコアテープを使用できません。
- 消化性潰瘍のある方
- 重篤な血液の異常のある方
- 重篤な肝障害、腎障害のある方
- 重篤な心機能不全のある方
- 重篤な高血圧症のある方
- ロコアテープの成分やフルルビプロフェンに対し過敏症を起こしたことのある方
- アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)を起こしたことのある方
- ニューキノロン系抗菌剤であるエノキサシン水和物、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、プルリフロキサシンを服用中の方
- 妊娠後期(妊娠28週以降)の女性
ロキソニンなどの痛み止めとの併用について
ロキソニンなど、他の非ステロイド性消炎鎮痛剤(内服薬・外用薬)との併用は可能な限り避ける必要があります。
ロコアテープの有効成分「エスフルルビプロフェン」は皮膚から吸収されやすく、ロキソニンなど他の非ステロイド性消炎鎮痛剤との併用によって、胃腸障害などの副作用が現れやすくなると考えられます。
最後に
2024年6月現在、ロコアテープの適応は変形性関節症のみです。
肩こりや腱鞘炎など変形性関節症以外の疾患には、他の外用薬が処方されます。
市販の痛み止めを使用していて、しばらくしても痛みや腫れが引かない場合は一度、医療機関を受診するようにしてください。
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参考資料