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【ピルの種類】世代や相性の違いや保険適応について解説します

避妊目的や生理に関するマイナートラブル改善のために、ピルの服用を考えている方が増えてきています。

一般的にピルと呼ばれるものは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンを配合した薬剤です。

配合されるホルモンの種類と量、自費と保険適用の違いなどでピルは細かく分類されています。

この記事では基本的なピルの種類についてお話ししているので、これからピルの服用を考えている方はぜひ参考にしてください。

ピルの種類

ピルは主に卵胞ホルモン(エストロゲン)という女性ホルモンの含有量の違いによって、大きく6つに分けられます。

ピルの種類 くすりの名前
高用量ピル(50μg以上)
中用量ピル50μg プラノバール
低用量ピル30~50μg ルナベルUD
フリウェルUD
アンジュ
シンフェーズ
ラベルフィーユ
トリキュラー
ファボワール
マーベロン
超低用量ピル30μg未満 ルナベルULD
フリウェルULD
ヤーズ
ヤーズフレックス
ジェミーナ
ミニピル(エストロゲンなし) 国内未承認
アフターピル(緊急避妊薬) ノルレボ

高用量ピルについて

高用量ピルは、現代ではほとんど使用されていません。

一昔前は高用量ピルが一般的に使用されていましたが、1960年代半ばから血栓症などの副作用が問題となり、1970年にアメリカ食品医薬品局(FDA)が「エストロゲン含有は50μg以下が望ましい」と勧告を出しています。

この勧告に基づいて、現代では低用量ピル・超低用量ピルが一般的に使用されています。

中用量ピルについて

中用量ピルは、主に月経不順、子宮内膜症、月経困難症の治療や月経移動などに用いられます。

その中でも特に月経移動を目的に使用されることが多く、服用するタイミングによって生理日をずらす・遅らせるといった調整ができます。

その他、中用量ピルをアフターピルとして使用するケースもあります。(ヤッペ法)

低用量ピルについて

低用量ピルは、主に避妊目的や月経困難症、月経前症候群(PMS)の治療に用いられます。

一般的な経口避妊薬ですが、避妊目的では保険適応になりません。

一方で月経困難症、月経前症候群(PMS)の治療のために使用する場合は保険適応になります。

超低用量ピルについて

超低用量ピルは、低用量ピルよりさらに卵胞ホルモン(エストロゲン)量が少ないピルです。

超低用量ピルは避妊目的にではなく、月経困難症などの治療に用いられます。

ミニピルについて

ミニピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)を一切含まないピルです。

血栓症などのエストロゲンに起因する副作用のリスクが低いので、高齢の方や肥満の方、喫煙中の方にも使いやすいピルです。

ミニピルは低用量ピルとは違って休薬期間を必要としません。

一方で、服用時間が3時間以上ずれたら避妊効果が下がってしまうので毎日決められた時間に服用する必要があります。

今現在、日本では未承認のため取り扱いのあるクリニックが少ないのが現状です。

アフターピル(緊急避妊薬)

アフターピルは、避妊に失敗した場合に飲む経口避妊薬です。

国内で承認されているノルレボは性交渉後72時間以内に服用することで高い避妊効果を発揮します。

ただ、72時間を超えてしまうと避妊率が大きく下がっってしまうため、早めの服用が大切です。

ピルの世代の種類と違いについて

低用量ピルや超低用量ピルは、さらに配合される黄体ホルモンの違いで4つの世代に分けられます。

世代 黄体ホルモンの種類 くすりの名前
第一世代 ノルエチステロン ルナベルLD/ULD
フリウェルLD/ULD
シンフェーズ
第二世代 レボノルゲストレル トリキュラー
ラベルフィーユ
アンジュ
ジェミーナ
第三世代 デソゲストレル マーベロン
ファボワール
第四世代 ドロスピレノン ヤーズ
ヤーズフレックス

第一世代ピルの特徴

第一世代の低用量ピルは、最初に承認された低用量ピルでノルエチステロンという黄体ホルモンが配合されています。

生理中の出血量を減らして、生理痛を緩和する効果に優れていますが、不正出血の頻度が高い傾向があります。

第二世代ピルの特徴

第二世代の低用量ピルは、レボノルゲストレルという黄体ホルモンが配合されています。

第一世代で不正出血の頻度が高かったため開発されました。

子宮内膜を安定させるので、他の低用量ピルに比べて不正出血の頻度が低く、生理周期が安定しやすいという特徴があります。

一方で、他の低用量ピルに比べてアンドロゲン(男性ホルモン)作用が強く、一時的にニキビなどの肌荒れがおきやすい傾向にあります。

第三世代ピルの特徴

第三世代の低用量ピルは、デソゲストレルという黄体ホルモンが配合されています。

この黄体ホルモンは男性ホルモンを抑えるはたらきがあるので、他の低用量ピルに比べ一時的な肌荒れを起こすことが少なく、大人ニキビや多毛症の改善効果が期待できます。

第四世代ピルの特徴

第四世代の低用量ピルは、ドロスピレノンという黄体ホルモンが配合されています。

低用量ピルの中で唯一、抗ミネラルコルチコイド作用をもつため、ピルの服用によるむくみが出にくいという特徴があります。

ピルの相性(そうせい)の種類と違いについて

ホルモン量による分類分けとは別に、低用量ピルは1シート内の女性ホルモン配合量のしかたで、一相性、二相性、三相性の3種類に分類されます。(現在、二相性ピルは日本での取り扱いなし)

相性 くすりの名前
一相性 ルナベルLD/ULD
フリウェルLD/ULD
ジェミーナ
マーベロン
ファボワール
ヤーズ
二相性
三相性 シンフェーズ
トリキュラー
ラベルフィーユ
アンジュ

一相性ピルについて

一相性ピルは、1シート(実薬21錠)の錠剤すべてのホルモン配合量が一定です。

実薬の飲む順番を間違えるリスクはないですが、本来のホルモン変動と異なるため、人によっては不正出血などの副作用が出る場合があります。

三相性ピルについて

三相性ピルは、1シート(実薬21錠)のホルモン配合量が3段階に変化します。

本来の自然なホルモン変動に近くなるため、不正出血などの副作用が比較的少ないとされています。

保険適用になるピルの種類

保険適用になるピルの種類は、月経困難症や子宮内膜症の治療を目的とするものです。

避妊目的で使用するピルは、保険適応にはならず自費となります。

一般的に避妊目的のピルはOC、治療目的のピルはLEPと呼ばれ、基本的な作用は共通していますが、避妊を目的としているのか、治療を目的としているのかで分類されます。

避妊目的:OC(Oral Contraceptives)

OCは避妊を目的として開発されたピルです。

治療ではないので保険適用にならず自費になりますが、副効用として生理痛やPMS、大人ニキビの改善が期待できます。

OCに分類されるピル

  • シンフェーズ
  • トリキュラー
  • ラベフィーユ
  • アンジュ
  • マーベロン
  • ファボワール

治療目的:LEP(Low dose Estrogen Progestin)

LEPは月経困難症や子宮内膜症の治療を目的としたピルです。

月経困難症や子宮内膜症の治療を目的として使用する場合は保険適用となります。

LEPに分類されるピル

  • ルナベルLD/ULD
  • フリウェルLD/ULD
  • ジェミーナ
  • ヤーズ
  • ヤーズフレックス

まとめ

ピルは女性ホルモンの配合量や種類で分けられ、避妊目的か治療目的かで保険適用になるかどうかが変わります。

ピルは服用してみないとどれが自分の体質にあっているかわからないこともあるため、どの種類のピルがおすすめなのかは一概には言えません。

今回紹介させていただいたようにピルの種類は様々なので、自己判断で選択せず、必ず医師に自分の症状、悩みを相談して処方してもらうようにしてください。

 

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参考資料

低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン

 

この記事を書いた人
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薬剤師 森 佑貴

ユウキ薬局代表。保険薬局で薬剤師として5年間勤務した後、零売専門薬局「ユウキ薬局」を開業。現場で薬剤師として勤務する傍ら、「一般の方向け」に「わかりやすく」お薬の情報を届けられるように記事を執筆しています。