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ウゴービの処方が保険適用となる条件は?ダイエット目的での処方は可能?

ウゴービは保険適用の肥満症治療薬ですが、適切に処方を受けるためには、患者側だけでなく、医療機関側も一定の要件を満たす必要があります。

なお、ウゴービは肥満症治療を目的としているので、低体重や普通体重の人に対する美容や痩身、ダイエット目的での使用は適応外となります。

ウゴービの処方が保険適用となる肥満症について

ウゴービの適応要件出典:肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント

ウゴービの処方は、以下に該当する肥満症に限り保険適用となります。

高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合。

  • BMIが27以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する※
  • BMIが35以上

※肥満に関連した健康障害

  1. 耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
  2. 脂質異常症
  3. 高血圧
  4. 高尿酸血症・痛風
  5. 冠動脈疾患
  6. 脳梗塞・一過性脳虚血発作
  7. 非アルコール性脂肪性肝疾患
  8. 月経異常・女性不妊
  9. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
  10. 運動器疾患 (変形性関節症:膝・股関節・手指関、変形性脊椎症)
  11. 肥満関連腎臓病
身長(cm) BMI27の体重(kg) BMI35の体重(kg)
150 60.7 78.7
155 64.8 84.1
160 69.1 89.6
165 73.5 95.2
170 78.0 101.1
175 82.6 107.2

BMIの求め方:「体重 (kg) ÷ 身長 (m)の2乗」

ウゴービの処方がおこなえる医療機関について

ウゴービが適応となる患者の選択や、投与継続/中止及び再投与の判断は、適切に行われなければなりません。

そのため、最適使用推進ガイドラインに記載されている施設要件についても遵守して使用されるべきとされています。

厳しい施設要件が設けられているので、該当するのは総合病院など大きな病院に限られることになります。

最適使用推進ガイドライン セマグルチド(遺伝子組換え)

施設要件

  • 内科、循環器内科、内分泌内科、代謝内科又は糖尿病内科を標榜している保険医療機関であること。
  • 高血圧、脂質異常症又は 2 型糖尿病並びに肥満症の病態、経過と予後、診断、治療を熟知し、本剤についての十分な知識を有している医師の指導のもとで本剤の処方が可能な医療機関であること。
  • 施設内に、<医師要件>に掲げる各学会専門医いずれかを有する常勤医師が1人以上所属しており、本剤による治療に携われる体制が整っていること。自施設に所属していない専門医がいる場合は、当該専門医が所属する施設と適切に連携がとれる体制を有していること。
  • <医師要件>に掲げる各学会のいずれかにより教育研修施設として認定された施設であること。
  • 常勤の管理栄養士による適切な栄養指導を行うことができる施設であること。実施した栄養指導については診療録等に記録をとること。

医師要件

臨床経験の基準

医師免許取得後 2 年の初期研修を修了した後に、高血圧、脂質異常症又は 2型糖尿病並びに肥満症の診療に 5 年以上の臨床経験を有していること。

または、医師免許取得後、満 7 年以上の臨床経験を有し、そのうち 5 年以上は高血圧、脂質異常又は 2 型糖尿病並びに肥満症の臨床研修を行っていること。

専門医の基準

高血圧、脂質異常症又は 2 型糖尿病を有する肥満症の診療に関連する以下のいずれかの学会の専門医を有していること。

  • 日本循環器学会
  • 日本糖尿病学会
  • 日本内分泌学会

なお、日本肥満学会の専門医を有していることが望ましいとされています。

まとめ

ウゴービは肥満症治療のための革新的な保険適用医薬品ですが、その処方を適切に受けるためには、患者側だけでなく、医療機関側も特定の条件を満たす必要があります。

ウゴービの処方は、美容や痩身、ダイエット目的の使用は適応外であり、肥満症治療を目的としていることを明確にしています。

適切な医療施設と専門医のもとで使用されるべきであり、その適用には慎重な対応が求められています。

 

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参考資料

最適使用推進ガイドライン(医薬品) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 (pmda.go.jp)

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薬剤師 森 佑貴

ユウキ薬局代表。保険薬局で薬剤師として5年間勤務した後、零売専門薬局「ユウキ薬局」を開業。現場で薬剤師として勤務する傍ら、「一般の方向け」に「わかりやすく」お薬の情報を届けられるように記事を執筆しています。