外用抗菌薬でニキビ治療薬のクリンダマイシンゲル。
この記事では、ニキビ治療薬の「クリンダマイシンゲル」について解説します。
クリンダマイシンゲルとは
クリンダマイシンゲルとは、クリンダマイシンリン酸エステルを含む、外用抗菌薬です。
2002年に佐藤製薬から発売されたダラシンTゲルの後発医薬品(ジェネリック)です。
背中や夏場のニキビ治療にはローションの方が塗布しやすい場合もありますが、後発医薬品にローションタイプの製剤はありません。
また、クリンダマイシンゲルは医療用医薬品に分類されるため、皮膚科などの医師の診察を受けなければ使えない医薬品です。
クリンダマイシンゲルの特徴
クリンダマイシンゲルは、ニキビの原因菌であるアクネ菌などに対して抗菌作用や抗炎症作用を示し、炎症期にある「赤ニキビ」や膿を持っている「黄ニキビ」の改善を促します。
外用抗菌剤で耐性菌のリスクがあるので、使用は必要最小限にし、耐性菌の発生を防ぐ必要があります。
使用部位も使用期間も必要最小限にとどめなければなりません。
クリンダマイシンゲルの効果について
クリンダマイシンゲルの適応症は、クリンダマイシンに感性を持つブドウ球菌属、アクネ菌による、化膿性炎症を伴う尋常性ざ瘡(ニキビ)です。
化膿性炎症を伴う尋常性ざ瘡(ニキビ)とは、赤ニキビや黄ニキビのことを指します。
他に、白ニキビや黒ニキビと呼ばれる状態のニキビもありますが、それぞれ、見た目の「色」で名づけられています。
クリンダマイシンゲルの副作用について
クリンダマイシンゲルの副作用としては、かゆみや発赤、じんましん、つっぱり感、パリパリ感、刺激感、ヒリヒリ感などが報告されています。
このような症状に気づいたら、医師や薬剤師に相談しましょう。
また、医師の指示なく、自己判断で塗るのをやめてはいけません。
クリンダマイシンゲルの使い方について
【使用回数・使用方法】
1日2回、洗顔後、適量を患部に塗布します。
塗り方は、ニキビの頭にチョンチョンという感じで使用するとよいでしょう。
乾燥が気になる場合は、クリンダマイシンゲルを塗る前に化粧水や乳液などで保湿すると乾燥を防げて、治療もしやすくなります。
【使用量】
クリンダマイシンゲルは、炎症のあるニキビにだけに塗布します。
ニキビのない部分には塗ってはいけません。もし塗りすぎた場合はティッシュペーパーなどで拭き取り、患部以外に広がらないようにしましょう。
【使用期間】
治療開始から4週間で何も変化がない場合には、処方元の医師と相談して薬剤の変更を検討する必要があります。
また、炎症を持っているニキビが消失したにも関わらず継続使用してはいけません。
耐性菌の発現を防ぐために、漫然と長期間使用しないようにする必要があります。
クリンダマイシンゲルについてよくある質問
クリンダマイシンゲルは妊娠中に使用できますか?
クリンダマイシンゲルは、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には使用しないことが望ましいとされています。
しかし、必ずしも妊婦に使用してはいけない薬剤ではないため、妊娠中に使用する必要がある場合は、医師の判断で処方される場合もあります。
胎児への形態異常については、最も大きい時期でも薬によるものは1~2%に過ぎないと考えられています。
しかし、妊娠すると体内では複雑な変化が起こるので、母体は機能低下を起こしたり、逆に鋭敏になったりして、薬の副作用が強くあらわれることもあります。
クリンダマイシンゲルはニキビ跡に効果はありますか?
クリンダマイシンゲルはニキビ跡には効きません。
しかし、毎日塗ることで、将来的にニキビ跡にしないことは期待できます。クリンダマイシンゲルが使えるのは、炎症期の赤ニキビや黄ニキビです。
ニキビ跡には、「赤み」「色素沈着」「凸凹などの種類がありますが、いずれもニキビの炎症が強かったり、長引いたりしていることが関係しています。
炎症が重症で長引くほど対処が難しいので、ニキビ治療は早めに行うことが大切です。
クリンダマイシンゲルの効果はどれくらいで実感できすか?
クリンダマイシンゲルの効果が出るまでの期間は個人差がありますが、およそ4週間ほどでニキビが改善されていきます。
耐性菌の発現を防ぐためにも漫然と使用してはいけません。
4週間ほど使用しても変化ない場合は、処方元の医師と相談して違う薬剤への変更を検討するようにしましょう。
臨床試験では、クリンダマイシンゲルを4週間塗布し続けた人の75%以上で、ニキビの改善効果が感じられたと報告されています。
化粧水や保湿クリームと併用する際の塗る際の順番は?
化粧水や保湿クリームを塗った後に、クリンダマイシンゲルを塗るようにします。
その理由としては、クリンダマイシンゲルを先に塗ってしまうと、化粧水や保湿クリームを塗る際に、必要箇所以外にもクリンダマイシンゲルが広がってしまうからです。
また、耐性菌の発現を防ぐためにも抗菌剤の使用は必要最小限にしなければなりません。
ニキビ治療外用薬や保湿ケア化粧品を塗る順番は、「塗る範囲が広いものが先」が基本です。
ニキビ治療薬を併用する際は、以下の順番で塗るようにしましょう。
- 洗顔
- 化粧水や乳液を使った保湿ケア
- 顔全体や面皰(めんぽう、白ニキビや黒ニキビ)部分に塗るニキビ用外用薬
- 炎症性ニキビに塗るクリンダマイシンゲルなどの外用抗菌薬
病状には個人差があり、また処方される薬や塗布する部分も違います。
使用方法は医師の指示に従いましょう。
関連記事
ベピオゲルは市販で購入できる?オンライン診療で処方を行うクリニックを紹介
アダパレンゲルは市販で購入できる?オンライン診療で処方を行うクリニックを紹介
参考資料
インタビューフォーム丨クリンダマイシンリン酸エステルゲル1%
妊娠していますが、薬を服用してもよいでしょうか? | 薬に関するQ&A | 一般社団法人 愛知県薬剤師会