経口抗菌薬のビブラマイシン。
この記事では、ニキビ治療で使われる「ビブラマイシン」について解説します。
ビブラマイシンとは
ビブラマイシンとは、細菌の蛋白合成を阻害することで抗菌作用や抗炎症作用を示す、テトラサイクリン系の抗生物質です。
米国ファイザー社研究所で開発された抗生物質メタサイクリンから化学的に合成されたものです。
国内においては、カプセル剤及びシロップ剤（1969 年）、ドライシロップ剤（1974 年）、錠剤（1975 年）、細粒剤（1978 年）、静注液（1979 年）等が承認されたものの、現在使用されているのは経口剤の50mg 錠及び 100mg 錠の剤形のみになります。
ビブラマイシンの特徴
ビブラマイシンの特徴としては、以下のことがあげられます。
- 幅広い抗菌作用を持っている。
- 1 日 1 回の服用で良い。
- 食事の影響が少ない。
- 腎機能障害者にも通常どおり使用できる。
ビブラマイシンは、グラム陽性菌やグラム陰性菌、クラミジア属などに対して抗菌作用を発揮します。
経口投与での吸収が良好で速やかに有効血中濃度に達するので、1 日 1 回の服用で済みます。
食事の影響はほぼありません。また、腎機能障害者に対して通常用量を連続投与しても、過剰蓄積をきたしにくいのも特徴のひとつです。
ビブラマイシン効果について
ビブラマイシンの適応症は、表在性皮膚感染症や深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創の二次感染などがあります。
皮膚科の診療では、炎症を起こしているニキビや顔面中央部の紅斑が特徴的な慢性炎症疾患の酒さなどに用いられています。
「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、急性炎症期の赤ニキビや黄ニキビで推奨度A（強く推奨）で最も強く推奨されている薬剤です。
一方で、丘疹膿疱型酒さは日本でのエビデンスが乏しいので推奨度C1（選択肢の一つとして推奨する）とされています。
ビブラマイシン副作用について
ビブラマイシンの副作用としては、吐き気や嘔吐、食欲不振、発疹、発熱、腹痛、下痢、光過敏症などが報告されています。
なかでも、下痢や腹痛、吐き気・食欲不振が起こりやすい副作用ですが、症状が軽微であれば問題ありません。
しかし、食事が摂れないなど重い症状である場合は薬の服用をやめる必要があります。
また、小児など（特に歯牙形成期にある8歳未満）が服用すると、歯牙の着色やエナメル質形成不全、一過性の骨発育不全を起こすことがあります。
ビブラマイシンの飲み方について
耐性菌の発生を防ぐため、必要最小限の期間のみ使用します。
ビブラマイシンは1日1回の服用で、1日数回の投与が必要な他のテトラサイクリン系薬剤に匹敵する効果が得られます。
【用法および用量】
通常、成人は初日に1日量200mg（力価）を1回または2回に分けて服用します。
2日目から1日量100mg（力価）を1回に服用します。服用量は疾患や症状によって異なるので、医師の指示に従ってください。
ビブラマイシンの吸収は食物などの影響をほとんど受けませんが、1日のうち服用するタイミングを決めておくことが大切です。
【服用期間】
耐性菌の発現等を防ぐため、使用期間は治療上必要な最小限にとどめる必要があります。
医師の指示に従い、長期間、漫然と服用してはいけません。
【服用上の注意】
食道に停留して崩壊すると、まれに食道潰瘍を起こすことがあるので、多めの水で服用するようにします。
特に就寝直前の服用などには注意してください。
医師の指示なく、自己判断で服用を中止しないでください。
ビブラマイシンは市販で購入できる？
ビブラマイシンなどの抗生物質の内服薬は市販されていません。処方箋なしで病院の薬が購入できる零売薬局でもビブラマイシンの扱いはありません。
その理由としては、抗生物質の乱用や不適切な使用によって、抗生物質が効かない「薬剤耐性菌」を生む恐れがあるためです。
ビブラマイシンの主成分であるドキシサイクリン塩酸塩水和物を配合した市販薬も扱いがないため、服用したい場合は医療機関を受診して処方を受けるようにしましょう。
ビブラマイシンについてよくある質問
ビブラマシンはニキビに対して何日で効果が出ますか？
服用開始して１週間程度で効果を実感するでしょう。
しかし、医薬品の効果が出るまでの期間には個人差があります。
ビブラマイシンを始め、内服抗菌薬は炎症性皮疹に推奨されていますが、耐性菌の出現を防ぐため長期間の使用は控えてください。
内服抗菌薬の投与は3カ月まで、6～8週目に再評価して継続の可否を判断することが望ましいともされています。
妊娠中・授乳中に服用できますか？
妊娠中や授乳中の服用は推奨されていません。
妊娠後半期に服用すると、胎児に一過性の骨発育不全や歯牙の着色、エナメル質形成不全を起こすことがあります。
また、ビブラマイシンは母乳中へ移行することが報告されています。
ビブラマイシンは長期服用しても問題ないですか？
ビブラマイシンなどの抗生物質は耐性菌発現のリスクがあるため、治療上、必要最小限の期間にとどめる必要があります。
ニキビ治療においても抗生物質の服用は3ヶ月以内にとどめることが推奨されています。
しかし、症状によってはそれ以上の期間の服用が必要と判断される場合もあるので主治医の指示通り服用するようにしてください。
ビブラマシンと飲み合わせが問題になるお薬はありますか？
ビブラマイシンは、以下の薬との飲み合わせについて、報告があります。
カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄剤、ビスマス塩、抗凝血剤（ワルファリンなど）、カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、バルビツール酸誘導体、スルホニル尿素系血糖降下薬（グリクロピラミド、グリベンクラミド、グリメピリドなど）、経口避妊薬
ビブラマイシンの作用が減弱もしくは、増強する可能性があるので、併用には注意が必要です。
服用中の薬が該当するかどうか分からない場合は、医師や薬剤師に相談してください。
その他ニキビに使用される抗生物質（ミノサイクリン）と違いはありますか？
ミノサイクリンはビブラマイシンと同様にニキビへの有効性が確立されており、効果にほとんど違いはありません。
しかし、ミノマイシンはめまいや色素沈着などの副作用の頻度が高く，自己免疫疾患や薬剤性過敏症症候群などの重篤な副作用も報告されています。
飲み忘れた時の対処法は？
飲み忘れから12時間以内であれば気付いた時点で服用します。
翌日の服用タイミング直前に気付いた場合、そのまま1日分飲み飛ばしてください。
ビブラマイシンはニキビの予防で服用できますか？
ビブラマイシンは、ニキビ予防には使えません。
まとめ
ビブラマイシンとは、細菌の蛋白合成を阻害することで抗菌作用や抗炎症作用を示す、テトラサイクリン系の抗生物質です。
尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、急性炎症期の赤ニキビや黄ニキビで推奨度A（強く推奨）で最も強く推奨されている薬剤です。
ビブラマイシンの副作用としては、吐き気や嘔吐、食欲不振、発疹、発熱、腹痛、下痢、光過敏症などが報告されており、小児、妊婦中、授乳中の方の服用は推奨されていません。
抗生物質の乱用や不適切な使用によって、抗生物質が効かない「薬剤耐性菌」を生む恐れがあるため、ビブラマイシンの主成分であるドキシサイクリン塩酸塩水和物を配合した市販薬は販売されていません。
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参考資料
クリンダマイシンリン酸エステルゲル１％丨インタビューフォーム
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