「薄毛は遺伝する」と聞いたことがありませんか?
男性型脱毛症(AGA)の場合は、遺伝が関与していることが分かっています。
しかし、女性の場合は一概に遺伝が関わっていると断言することはできません。
では、具体的にはどのような原因によって女性の薄毛が発症するのでしょうか。
この記事では、女性が薄毛になる5つの原因と普段から行える薄毛ケアについて紹介します。
女性の薄毛は遺伝するの?
女性の薄毛は、ホルモンバランスの乱れや生活習慣など、男性の薄毛とはまた違った機序で発生します。
もちろん、遺伝の影響もありますが、男性のAGAと比べると遺伝の影響は少ないと考えられています。
そのため、「親が薄毛だから自分も遺伝するかも…」と気にしすぎる必要はありません。
女性の薄毛の特徴
女性の薄毛の特徴を詳しくみていきましょう。
女性の薄毛は遺伝よりもホルモンバランスの影響が大きい
女性の薄毛にも遺伝が関係していると言われていますが、どのように遺伝因子が絡んでいるのかについてはまだ明確なことが分かっていません。
遺伝よりも女性の薄毛に大きな影響を与えていると考えられているのがホルモンバランスです。
女性の場合は、閉経後(40代から50代頃)になると薄毛に悩む方が増えてきます。これは、閉経によってホルモンバランスが大きく崩れるためです。
女性の薄毛はびまん性脱毛症が多い傾向がある
びまん性脱毛症とは、髪の毛全体のボリュームが減少していくタイプの薄毛のことです。
男性型脱毛症では生え際や頭頂部の薄毛が目立ちやすいことが特徴ですが、女性の場合は局所的な脱毛ではなく全体的な脱毛が見られやすい傾向にあります。
少しずつ髪の毛が減っていき、気づいたら地肌が見えるほどにボリュームが減っていたというケースが少なくありません。
びまん性脱毛症が進行すると、治療を始めてもなかなか改善しないことがあります。そのため、少しでも薄毛が気になるようになったら早めに適切な治療や対策を始めることが大切です。
女性が薄毛になる5つの原因
女性が薄毛になる原因は、一つではありません。大きく関係しているのはホルモンバランスだと言われていますが、そのほかの要因によって薄毛が引き起こされることもあります。
女性が薄毛になりやすい原因をまとめました。
ホルモンバランスの乱れ
40代、50代の更年期時期は、ホルモンバランスが大きく崩れやすいタイミングです。閉経前後の5年間、合計10年間を更年期と呼びます。
更年期に入ると、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの量が急激に減少します。
エストロゲンは、女性らしさを作り出す働きのほか、髪の毛の成長にも大きく関わっているホルモンです。
髪の毛は成長期、退行期、休止期のサイクルを回ることで生えたり抜けたりを繰り返しています。
エストロゲンには髪の毛が太く長く育っていく成長期の期間を延ばす働きがあるため、女性は男性と比べて薄毛になりにくいのです。
しかし、更年期を迎えることでエストロゲンの量が減少すると、成長期の期間が短くなり薄毛が目立つようになることがあります。
遺伝
女性の薄毛には、遺伝が関係していると言われています。ただし、男性の薄毛のように大きく遺伝の影響を受けることは少ないでしょう。
現時点では、遺伝的要素よりも環境要因による影響が大きいのではと考えられています。
不規則な生活習慣
生活習慣の乱れも薄毛を引き起こす原因です。
睡眠不足、喫煙、飲酒、過激なダイエットなどによって生活習慣が乱れると、薄毛になりやすくなります。
睡眠不足が髪の毛に影響を与えるのは、成長ホルモンの分泌量が減少するためです。成長ホルモンには髪の毛の成長を促す働きがあるため、不足すると髪の毛に影響が出てしまいます。
過激なダイエットも薄毛を招くことがあるので注意しましょう。極端に栄養不足の状態になると、女性ホルモンのバランスが乱れたり髪の毛が正常に成長しなくなったりすることがあります。
病気
鉄欠乏性貧血や膠原病(こうげんびょう)、甲状腺機能低下症などの病気も薄毛を引き起こす原因です。
鉄欠乏性貧血は、女性の10%に見られると言われています。一見すると薄毛とは関係ないように思えるかもしれませんが、鉄は髪の毛の細胞にも必要な成分です。そのため、鉄欠乏性貧血になると薄毛になることがあります。
膠原病とは、血管や筋肉、関節などに見られる炎症性疾患の総称です。薄毛を引き起こしやすい膠原病として、エリテマトーデスが知られています。
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの作用が低下した状態のことです。甲状腺の働きが弱くなると、全身の代謝機能が落ちるため脱毛が見られることがあります。
産後
出産後に見られる脱毛を分娩後脱毛症と呼びます。分娩後脱毛症は誰にでも起こるものなのでほとんど心配はいりません。
妊娠中は、エストロゲンの分泌量が増えているため、成長期の期間が長くなり髪の毛が抜けづらい状態になっています。
出産すると、エストロゲンが急激に減少して髪の毛が一気に休止期へ入るため、一時的に抜け毛が増えてしまうのです。出産後2~3か月から抜け毛が目立つようになります。
日々の生活でできる薄毛予防ケア
薄毛が気になる場合は、できるだけ早めに対策を始めましょう。
抜け毛が増える原因には生活習慣も関係しているため、日々の生活にセルフケアを取り入れることも大切です。
良質な睡眠をとる
成長ホルモンの分泌を促すためにも、良質な睡眠をとるように心がけましょう。
とはいえ、家事や育児、仕事などで忙しく、十分な睡眠時間を確保できない方も多いかと思います。このような方は、睡眠の質を高めるようにしてみてください。
就寝2~3時間前に入浴する、朝起きたら日光を浴びる、寝る前に強い光を浴びないなど、意識することで睡眠の質を高められます。
食生活の見直し
食事バランスが乱れていると、健康な髪の毛はなかなか生えてきません。バランスの良い食事を心がけ、たんぱく質や亜鉛、鉄分やビタミン群を積極的に摂りましょう。
たんぱく質は髪の毛の主成分であるため、特に重要です。
亜鉛は、髪の毛を構成するケラチンを合成する過程で必要になります。鉄分やビタミン群は、健康な髪の毛を生やすために必要な栄養素です。
適度な運動
運動不足になると、血流が悪くなって髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素が運ばれにくくなります。
ウォーキングやジョギングなど軽い運動で構いませんので、週3回程度を目安に適度な運動を行うようにしてみてください。
飲酒と喫煙を控える
アルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドは、薄毛を引き起こす原因の一つだと言われているジヒドロテストステロンを増やす可能性があると言われています。
また、タバコに含まれているニコチンには血管を収縮させて血流を悪くする働きがあるため、こちらも薄毛の原因になります。喫煙している方は禁煙をし、過度な飲酒は控えるようにしましょう。
薄毛の治療方法
女性の場合、さまざまな要因によって薄毛を発症するため、セルフケアのみで薄毛を完治させるのは簡単ではありません。
ここからは、女性の薄毛に効果的な治療方法について解説していきます。
市販の育毛剤を試してみる
市販では、多くの育毛剤が販売されています。
まずは、ドラックストアやネットで手軽に購入できる育毛剤から始めてみるのも良いでしょう。
育毛剤で新たに髪の毛を生えさせることはできませんが、健康な髪の毛が生えやすい土台を整えるのに効果的です。
抜け毛を減らして発毛を促したい方は、ミノキシジルが配合された発毛剤を使用するとよいでしょう。
ミノキシジルには、乱れた毛周期を整えて髪の毛が成長しやすい状態に整える効果があります。
ミノキシジルを女性が使うのは危険?安全、効果的に使用する方法
薄毛治療専門のクリニックへ相談する
女性が薄毛になる原因は多岐にわたります。
原因を明らかにして適切な治療をおこなうには、薄毛治療を専門にしているクリニックへ相談することがいちばんです。
最近では、女性のFAGA(薄毛治療)に力を入れているクリニックもいくつかあります。
薄毛は進行してしまうと治療が難しくなるため、早めに相談することをおすすめします。
まとめ
女性の薄毛は遺伝すると考えられていますが、環境要因も大きく影響しているため一概に遺伝のみで薄毛が発症すると断言することはできません。
ホルモンバランスの乱れ、不規則な生活習慣、病気、出産など薄毛を引き起こす原因は多くあります。
薄毛が気になり始めたら、まずは市販の育毛剤や発毛剤を使ったりするのも良いですが、確実な治療を行いたい方は早めに薄毛治療専門のクリニックに相談しましょう。
クリニックでは、薄毛の状態や原因に合わせた適切な治療を受けられます。
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参考資料
Genetics and other factors in the aetiology of female pattern hair loss – PubMed