今回はビオチン療法についてお話ししていきます。
ビオチン療法とは
ビオチン療法とは長期間ビオチンを摂取することで、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)や汗疱、アトピー性皮膚炎、ニキビなどの皮膚症状の改善が期待できる治療法です。
水溶性のビタミンであるビオチンには皮膚の機能を正常に保つ働き、コラーゲンやセラミドなどの生合成を助ける働き、アレルギー症状を緩和する働きがあります。
ビオチンの詳しい効果についてこちらからご確認できます。
>>>ビオチンとは?その効果と市販で買えるサプリや医薬品を紹介
ビオチン療法のやり方
ビオチン療法のやり方は、ビオチンを長期間服用することです。
それに加え、ビオチンの働きを助ける目的で整腸剤とビタミンCが併用されます。
整腸剤は酪酸菌(ミヤBM、ミヤリサン)を使用する理由
整腸剤の種類はたくさんありますが、その中でも酪酸菌が入った整腸剤を併用します。
市販だと「強ミヤリサン」、医療用医薬品では「ミヤBM」です。
ビフィズス菌やフェリカス菌(乳酸菌)が入っている整腸剤では、逆に腸内でビオチンを消費してしまうとされています。
ビオチンは一定の間隔をあけて服用する
ビオチンは水溶性ビタミンなので摂取してもすぐに尿として排出されてしまいます。
なのでビオチンの効果を最大限引き出すために、1日を通して血液中のビオチン濃度を一定に保つ必要があります。
そのために決められた量を8時間間隔になるように3回に分けて服用することが重要です。
掌蹠膿疱症に対するビオチン療法の用量
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)に対して行われるビオチン療法の用量の一例を紹介します。
掌蹠膿疱症のビオチン療法の一例
- ビオチン:3mg (医療用医薬品のビオチン散なら3包)
- ミヤリサン(酪酸菌):40mg (ミヤBM錠なら2錠分)
- ビタミンC(医療用ハイシー顆粒では1~2包)
上記の量を1日3回服用します。
どれくらいで効果が出る?
一般的にビオチンの効果を実感するまでには6ヶ月程度は必要とされています。
ビオチンには即効性がないので、きちんと毎日続けることが大切です。
ビオチン療法の注意点
生卵の摂取を控える
生の卵白にはアビシンという物質が含まれています。
このアビシンがビオチンと結合してしまうことで吸収を妨げてしまうので治療中は生卵の摂取は控えるようにしましょう。
ただし、加熱した卵なら摂取しても問題ありません。
喫煙はNG
喫煙は、大量のビオチンを消費します。
ビオチン療法を妨げるので、タバコは吸わないようにしましょう。
有効率は15%程度
ビオチン療法の掌蹠膿疱症に対する有効率は15%程度といわれ、その効果に対するエビデンスは極めて乏しいとの指摘もあります。
その一方で掌蹠膿疱症に伴う関節炎に対しては効果が高いという報告もあり、ビオチン自体には目立った副作用がほとんどなく安全な治療法ですので試してみる価値はあります。
パントテン酸との併用について
パントテン酸(ビタミンB5)はビオチンと類似している構造のため、多量に摂取するとビオチンと競合してしまいビオチンの吸収が悪くなってしまう可能性が示唆されています。
しかし、その程度はかなり軽微なものであるためビオチン療法においてはシナールを併用する場合もあるようです。
※シナールはビタミンC(アスコルビン酸)とパントテン酸の合剤
シナールの成分や効果についてはこちらからご確認できます。
ビオチン療法の危険性は?
ビオチンを過剰摂取した場合のリスクは、極めて低いです。
というのも、ビオチンは水溶性のビタミンであり過剰摂取してもすぐに尿として排出されます。
食事摂取基準においてもビオチンの耐用上限量は設定されていません。
ビオチンを長期間服用した試験では以下のように報告されています。
- 先天的のビオチン代謝疾患をもつ患者では、ビオチンの経口摂取は200,000µg/dayまで毒性を示さなかった。
- ビオチン代謝疾患のない人を対象とした試験でも、2年間にわたり5,000µg/dayまでのビオチンを服用しても何ら副作用は認められなかった。
まとめ
ビオチン療法は、比較的安全性の高い治療法であり、使われている成分もすべて市販で手に入れることが可能です。
しかし自己流でビオチン療法をするのではなく、まずは皮膚科で医師に診てもらうようにしましょう。
市販薬を選ぶ際のポイント
市販で販売されているビオチンは、メーカーや商品によって含有量にばらつきがあります。
一度にたくさん摂取できるものを選ぶのではなく、1日数回に分けて服用できるものを選びましょう。
病院でもらっていたものと同じ医療用のビオチンがほしいという方は、零売薬局で購入することも可能です。
市販で購入できるミヤリサンについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
>>>【ミヤリサン】酪酸菌の効果と副作用 | 痩せるといわれる理由を解説
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参考文献
掌蹠膿疱症性関節炎とビオチン.前橋 賢、牧野 好夫、他.診断と治療 Vol.80-No.8 1992(125)
ビオチン投与を試みた掌蹠膿疱症性骨関節炎の1例.西原 修美、小浦 宏、他. 皮膚臨床 45(7);855~857,2003
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