今回は、市販で購入できるビオスリーとビオフェルミンの違いと使いわけについてお話しします。
市販のビオスリーにはアリナミン製薬株式会社から販売されているビオスリーHi錠などがあります。
また、市販のビオフェルミンには大正製薬株式会社から販売されている新ビオフェルミンS錠などがあります。
ビオスリーとビオフェルミンの違いは含まれる活性菌の種類
ビオスリーとビオフェルミンの大きな違いは含有する活性菌の種類です。
商品名 | ビフィズス菌 | 酪酸菌 | 乳酸菌 | 糖化菌 |
---|---|---|---|---|
ビオスリーHi錠、H | ◯ | ◯ | ◯ | |
新ビオフェルミンS錠、細粒 | ◯ | ◯ |
ビオスリーの成分について
ビオスリーは酪酸菌、ラクトミン(乳酸菌)、糖化菌を含有する整腸剤です。
ビオスリーHi錠、ビオスリーHの1日量(15歳以上)は以下のとおりです。
- 酪酸菌…150mg
- ラクトミン(乳酸菌)…30mg
- 糖化菌…150mg
市販で購入できる製品はビオスリーHi錠、ビオスリーH(粉タイプ)などがあります。
ビオスリーについてはこちらの記事で詳しくお話ししています。
>>>【ビオスリー】効果と副作用 | 痩せるといわれる理由を薬剤師が解説します
酪酸菌
酪酸菌は主に大腸にすみつき、腸内で食物繊維を分解して短鎖脂肪酸の「酪酸」と「酢酸」を産生します。
また、酪酸菌は芽胞(バリアのようなもの)を形成するので、熱や胃酸、抗生物質に耐性があるという特徴があります。
ラクトミン(乳酸菌)
ラクトミン(乳酸菌)は小腸下部~大腸にすみつき、腸内で主に「乳酸」を産生します。
糖化菌
糖化菌は小腸上部にすみつき、腸内で食物繊維を分解して糖を作りだして、乳酸菌やビフィズス菌の増殖をサポートします。
糖化菌も酪酸菌と同様に芽胞を形成する菌なので、熱や胃酸、抗生物質に耐性があります。
ビオフェルミンの成分について
市販のビオフェルミンはビフィズス菌と乳酸菌を含有する整腸剤です。
新ビオフェルミンS錠、新ビオフェルミンS細粒の1日量(15歳以上)は以下のとおりです。
- コンク・ビフィズス菌末…18mg
- コンク・フェーカリス菌末…18mg
- コンク・アシドフィルス菌末…18mg
※「コンク」とは濃縮したという意味
新ビオフェルミンSプラス錠、新ビオフェルミンSプラス細粒はこの3種類の菌にロンガム菌(ビフィズス菌の一種)を加えた製剤です。
ビフィズス菌
ビフィズス菌は主に大腸にすみつき、腸内で「乳酸」と短鎖脂肪酸の「酢酸」を産生します。
大腸において、善玉菌であるビフィズス菌と乳酸菌の割合は、99.9%がビフィズス菌で0.1%が乳酸菌で圧倒的にビフィズス菌が占める割合が大きいです。
乳酸菌(フェーカリス菌・アシドフィルス菌)
乳酸菌の一種で主に小腸下部~大腸にすみつき、乳酸を産生します。
乳酸と酢酸をつくるビフィズス菌に対して、乳酸菌は主に「乳酸」を作り出します。
ビオスリーとビオフェルミンの効果の違い
ビオスリーHi錠と新ビオフェルミンSの効能は同じです。
それぞれの製品情報には、
効能:整腸(便通を整える)、便秘、軟便、腹部膨満感
と記載されています。
また、ビオスリーとビオフェルミンを直接比較した大規模な臨床試験は行われておらず、一般的に両者に効果の違いはないとされています。
ビオスリーとビオフェルミンの副作用の違い
ビオスリーとビオフェルミンはともに善玉菌を主成分とする整腸剤なので目立った副作用はなく、安全に服用できる整腸剤です。
整腸剤に含まれる善玉菌が体内に吸収されることは極めてまれであり、妊娠中や授乳中の方でもビオスリーやビオフェルミンを服用することが可能です。
また、ビオスリーやビオフェルミンなどの整腸剤は長期間服用することで効果が弱まったり、くせになるようなこともありません。
ビオスリーとビオフェルミンを服用できる年齢の違い
ビオスリーとビオフェルミンを服用できる年齢に違いはなく、小さな子どもでも服用することができます。
錠剤タイプ(ビオスリーHi錠、新ビオフェルミンS錠、新ビオフェルミンSプラス錠)は5歳から、
粉タイプ(ビオスリーH、新ビオフェルミンS細粒、新ビオフェルミンSプラス細粒)は生後3ヶ月から服用できます。
ビオスリーとビオフェルミンの使いわけ
ビオスリーとビオフェルミンのどっちが有効飲むべきかは一概にお答えすることはできません。
というのもビオスリーとビオフェルミンは含有する活性菌の種類は異なりますが、同じ効能をもっています。
とはいえ、含有する活性菌に違いはあるのでそれぞれの特徴を理解した上で整腸剤を選ぶようにしましょう。
使い分けその1、菌株による親和性の違い
菌株によって腸内での親和性が異なるので自分の症状、相性に合わえて整腸は選ぶようにしましょう。
例)通常、ウイルス性胃腸炎の主な感染経路は小腸(上部消化管)、細菌性の下痢では大腸(下部消化管)とされています。
使い分けその2、ビオスリーは抗生物質との併用が可能
ビオスリーに含まれる酪酸菌と糖化菌は芽胞を形成し、抗生物質に耐性があるので併用が可能です。
一方で、ビオフェルミンに含まれるビフィズス菌と乳酸菌のは抗生物質に耐性がないので併用はしません。
ビオスリーとビオフェルミンの併用について
ビオスリーとビオフェルミンを一緒に飲むことで効果が良くなるということはないので、一般的に併用することはありません。
市販のビオスリー、ビオフェルミンはどこで買える?
市販で購入できるビオスリーHi錠や新ビオフェルミンS錠などの整腸剤は、指定医薬部外品に分類されるのでインターネット通販で購入することが可能です。
整腸剤を飲み始めてから効果を実感できるまでの期間は、個人差があるため一概には言えませんが、1ヶ月程度服用しても症状の改善がないようであれば、なにか病気が隠れている可能性もあるので一度病院を受診するようにしてください。
まとめ
市販のビオスリーとビオフェルミンは含有する活性菌に違いがあり、菌種によって消化管内での親和性が異なります。
ビオスリーとビオフェルミンの効果を直接比較した試験はなく、一般的にどちらを服用しても実感できる効果に違いはないとされています。
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参考文献